e北朝鮮の事件発生から40年

  • 2017.09.14
  • 情勢/国際

公明新聞:2017年9月14日(木)付



対談 拉致問題を風化させない
公明党拉致被害者・家族の支援等プロジェクトチームの竹内譲座長(衆院議員)
バイオリニスト・五嶋龍氏



今年9月、北朝鮮による日本人拉致事件の発生から40年になります。現在、拉致被害者家族連絡会が中心になり、米国で解決を求めるシンポジウムなどを開催しています。そこで、拉致問題を風化させまいと活動を続けるバイオリニスト・五嶋龍氏と、公明党拉致被害者・家族の支援等プロジェクトチームの竹内譲座長(衆院議員)に語り合ってもらいました。


五嶋 学生との演奏で世論喚起


竹内 五嶋さんは現在、世界公演の傍ら、拉致問題を啓発するチャリティーコンサートを国内各地で開催されていますね。

五嶋 はい。リサイタルを含めて全国6カ所で「projectR"拉致被害者を忘れない"」と題したツアーを行っています。「R」には「リメンバー(忘れない)」「拉致」「龍」の意味を込めました。

竹内 学生のオーケストラと一緒に演奏されていると聞きました。

五嶋 拉致問題について、若い学生にも問題意識を持ってもらいたいと思い、協力を呼び掛けました。多くの皆さんから応援を頂き、長野市、仙台市、大阪・豊中市、東京・小平市の4カ所の公演を無事に終えることができました。各会場では拉致問題に関するパネル展も開くことができ、大勢の方が足を運んでくださいました。これは竹内議員が政府に働き掛けていただいたことで、実現できたものです。ありがとうございました。

竹内 残りのコンサートも成功するよう念願しています。ところで、五嶋さんが拉致問題に関心を持たれたきっかけは何ですか。


五嶋 不公平な人権侵害に"怒り"


五嶋 この問題については、幼いころ私の母親から聞かされ、拉致被害者を思い、涙する母の姿を見てきました。大人になり、私の中で問題解決を願う気持ちが強くなり、今回のプロジェクトを立ち上げました。また、被害者の横田めぐみさんのお母さま、早紀江さんからも話をうかがい、「このあまりに不公平な人権侵害は何だ」という怒りが心にこみ上げてきたのです。東京公演の会場には、早紀江さんにビデオメッセージを寄せていただきました。

竹内 事件から40年がたつ今も被害者家族の皆さんは苦しまれています。突然、家族を奪われた理不尽さと悲しみは筆舌に尽くせません。拉致問題は人権侵害であり、わが国の主権にかかわる重大な問題です。しかし、近年では国民の関心が低下しているのも否定できません。

五嶋 実際に拉致問題を知らない人もいます。そこで各ツアーで共演した100人近い学生たちと、リハーサル前後に問題解決に向けて互いの意見を交わすディスカッションを行っています。皆、真剣でいつも白熱した議論になります。

竹内 拉致問題の転換点は2002年9月の日朝首脳会談でした。そこで北朝鮮は日本人への拉致を公式に認め、謝罪しました。そして翌10月、曽我ひとみさんら5人の拉致被害者が帰国。その後、国会では公明党などの強い主張を受け、日本での生活を支援する「拉致被害者支援法」が議員立法で成立しています。

五嶋 公明党はこれまで、拉致問題にどのように取り組まれてきたのですか。

竹内 党としては20年以上にわたり、被害者家族との交流を続け、問題解決へ取り組んできました。国会質問でも真っ先に取り上げ、真相究明を求めてきたのは公明党です。党内に対策本部などを立ち上げ、世論を喚起し、中国や米国への協力も呼び掛けてきました。また、私自身も京都市議時代から議会の議員連盟発足に携わり、全国の拉致現場にも足を運び、被害者や家族の声を聞いてきました。

五嶋 長年にわたり尽力されてきたんですね。

竹内 14年には高齢になる被害者と家族の所得を補う老齢給付金の創設や、新たな被害者の帰国に備えた対策を強化する支援法の改正を後押ししました。


竹内 今も続く被害者家族の苦悩


五嶋 拉致問題の解決へは、国内世論の高まりが重要だと感じています。今年6月、私が住む米国の学生が北朝鮮に拘束され、解放後に死亡する事件があり、北朝鮮の残忍さに多くの米国民が憤りました。

竹内 辛い事件でした。日本政府は、拉致問題に対する大学生への啓発セミナーに加え、今年から中高生対象の作文コンクールを実施しています。こうした中、五嶋さんが行動を起こしてくれたことは世論喚起に向けた大きな追い風であり、心強く思っています。


竹内 愚行許さず、解決へ全力


五嶋 私たちのコンサートの演奏は北朝鮮に向けた短波ラジオ「ふるさとの風」で流れます。米国の海外向け国営ラジオでも放送される予定です。一人でも多くの人に届くように全力で演奏し、若い世代が拉致問題について行動を起こしていることを広く発信していきます。そして何より、拉致問題を解決するには政治の力が必要です。

竹内 残念なことに北朝鮮は核実験や、ミサイル発射など国際社会の平和と安全を損なう愚かな挑発行為を続けています。しかし、チャンスは必ずあります。公明党は今後も拉致、核、ミサイル問題の解決に全力で取り組みます。本日は、ありがとうございました。


ごとう・りゅう


1988年米国生まれ。7歳の時にコンサートデビュー。現在、各国のオーケストラと共演し、世界を舞台に活躍する。ハーバード大学卒。

【projectR 公演日程】

♪10月10日=岡山・勝央文化ホール

♪同 11日=福岡シンフォニーホール

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