e企業主導型保育所 整備を加速

  • 2017.08.30
  • 情勢/解説
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公明新聞:2017年8月30日(水)付



政府、17年度末までの定員目標2万人上積み
複数企業による共同設置が可能
休日や夜間の開所も魅力



企業が職場内などで従業員の子どもを預かる「企業主導型保育所」が全国に広がっている。保育所待機児童対策に力を入れる政府は、当初の計画を上積みして整備を加速させる方針を示した。企業主導型保育所の現状と今後の課題などを解説する。

政府は今月、企業主導型保育所の定員を2017年度末までに約7万人にすると発表した。当初の計画より2万人の上積みである。

待機児童の解消へ、政府は保育の受け皿約22万人分の確保を掲げ、20年度末までの実現をめざしている。こうした中、企業主導型保育所は当初、16年度から17年度末までに5万人の受け皿を整備する予定だった。

しかし、16年度の約2万人に加え、17年度は今年5月の第1次募集で約1万9000人分の設置申請があったため、計約3万9000人分が確保される見通しとなった。そこで、政府は目標を7万人分に上方修正し、9月29日まで第2次募集を受け付けている。

16年度の実施状況を分析すると、運営形態は「共同設置・共同利用」が「単独設置」と同じ約4割を占めており、制度の趣旨が生かされていることが分かる。また、導入した企業のうち「中小」が全体の約6割に上り、規模の小さな事業所への貢献がうかがえる。

設置基準については、保育従事者のうち「保育士が半数以上」となっている。その上で、「全員が保育士」の施設が5割を超えており、保育の質の確保に努めている企業が多い。

全国各地では、従業員のニーズに合わせて多様な企業主導型保育所が運営されている。

不動産事業などを扱う「株式会社ダイナシティ」(神奈川県)は、運営するショッピングセンター「小田原ダイナシティ」内に保育所を設置。センター内のテナントの従業員も共同で利用している。開所の曜日や時間をセンターの営業に合わせているため、保護者は自身の就労形態に応じて、休日や夜間などでも子どもを預かってもらえる。

また、兵庫県姫路市を拠点とする「神姫バス株式会社」は、姫路駅から徒歩1分の好立地に保育所を開設し、周辺企業と共同で利用している。保護者からは「育児休業明けの保育施設選びに悩むことなくスムーズに職場復帰できた」「子どもの急病などで、すぐに迎えに行くことができ安心」といった声が寄せられている。



「働き方改革」と組み合わせて


公明党次世代育成支援推進本部 山本香苗本部長(参院議員)


企業主導型保育について、公明党は16年度の創設時から待機児童対策の有効な手段の一つとして推進するとともに、子どもの安全・安心の確保についても積極的に取り組んできました。

その一つが、児童・生徒が学校で事故などに遭った場合、施設の責任の有無にかかわらず、給付の対象となる「災害共済制度」の拡充です。公明党はこれまでも、小規模保育などをこの制度の対象に加えてきましたが、企業主導型保育所も追加する法改正を実現しました。

今後の課題は、東京など都市部での設置促進です。ニーズがあるにもかかわらず、適切な設置場所の確保が難しいのが実態です。また、通勤ラッシュの中、子どもを職場内の保育所まで連れて行くのも負担が大きい。フレックスタイム制度や時差出勤制度の活用など「働き方改革」と組み合わせて実施していく工夫が必要だと思います。



企業主導型保育所


企業が職場内やその近場などに整備するもので、複数の企業で共同設置・利用することもできる。夜間や土・日曜日、短時間で働く従業員にも対応するなど、柔軟な保育サービスが特長で、一定の割合で地域の子どもを受け入れることも可能だ。施設の整備費・運営費については認可保育所並みの助成が受けられるほか、税制優遇や公的な融資制度もある。

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