eコラム「北斗七星」

  • 2017.08.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年8月26日(土)付



寺山修司の歌にある。<わが夏をあこがれのみが駈け去れり麦藁帽子被りて眠る>。仙台の8月は、夏らしさを感じないまま終わるのだろうか。きのうは、83年前に記録した観測史上最長と並ぶ35日間連続の雨降りとなった◆それにしても雨の多い夏だった。気象庁の統計では、1時間に50ミリ以上の雨が降る頻度が2007年以降、1970~80年代に比べ3割増えた。秋田県では1カ月前「50年に1度の大雨」が各地を襲ったが、人的被害がなかったのは幸いだ◆その理由の一つとして指摘されているのが、秋田地方気象台長と県内全25市町村との「ホットライン」。和田幸一郎台長は今年4月に赴任するや県内全市町村長を訪ね、携帯電話の番号を交換した。首長に対し、避難勧告を出すための判断材料を速やかに提供するのが目的である◆先月、和田台長は災害で電話が通じなくなることも想定し、携帯電話やインターネットのテレビ電話による情報共有を訓練していた。秋田豪雨に際しては、8市6町の首長と電話で情報交換し、早期の避難勧告発令に貢献したとされている◆和田台長の前任地は盛岡地方気象台。昨年8月の台風10号で岩手県岩泉町が全域に避難勧告を出さなかったことで高齢者グループホームの入所者9人が犠牲となった。それを教訓にしたという。(川)

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