eコラム「北斗七星」

  • 2017.08.23
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年8月23日(水)付



「初めて訪れた選挙事務所でも、誰が立候補者かほぼ見当がつく」。長い間、選挙戦第一声の応援で全国を飛び回っていた党幹部が、かつてそう語っていた。何か秘策があるわけではない。決戦に臨む決意や心意気、そして緊張感などの感情がこみ上げるためか、精悍な面構えになるので判別できたという◆任期中にどれだけ公約を果たしたか。国や地域の将来を見据えたビジョンを示せるか。今後も必要な議員であると期待されるか。遊説先で出会った有権者の質問に対し、的確に回答できるか。当選までの道のりは平坦ではない◆「選挙戦ほど政治家にとって格好の教育はない」。チャーチルの言葉である。彼と幾度となく会談や交渉の機会を持ったニクソン元米大統領は、「チャーチルは、選挙戦の中で揉まれて強くなった人だった。あれを教育とはよく言った」(「指導者とは」 文春学藝ライブラリー)と称賛する◆しかし、選挙至上主義に陥っては本末転倒である。その先には、パフォーマンス政治やポピュリズム(大衆迎合)が待ち受けているからだ◆政治家の主戦場は議会と地域に尽きる。徹底して現場を歩き、声を吸い上げ、住民と悩みながら、解決策を見出す。この活動こそが人々からの信頼を高めていく。現場が政治家を揉んで、強くしてくれる。(明)

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