eコラム「北斗七星」

  • 2017.08.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年8月14日(月)付



「立秋の紺落ち付くや伊予絣」。文豪・夏目漱石が詠んだ歌である。立秋は秋の気配がほの見える8月7日から22日ごろを指す。今はその中間、次候に当たるが、西日本などでは厳しい暑さが続いている◆何せ最近は、立秋の風情が感じられないほど暑い。北斗子の生活圏の一部、大阪を見ても、2014年立秋の最高気温の平均は32.2度、15年は33.2度に。さらに昨年は36度と猛暑日が並ぶ一方、最低気温も立秋5日目を除き25度以上の熱帯夜だった◆お盆休みの人、勉強に追い込みを掛ける学生らにとっても、たまらない気候だ。勿論、近年の傾向は日本に限らない。米海洋大気局の報告書によれば、地球の平均気温は3年連続で観測史上最高を更新。昨年が最も暑い1年になった(NHK)◆報告書は60カ国余り、500人近い研究者の協力を得てまとめられた。昨年の平均気温は一昨年に比べ0.1度上昇。温室効果をもたらす二酸化炭素の濃度は過去最高となり、陸地の12%で深刻な干ばつになるなど、異常気象が起きていた◆ちなみに、漱石が好んだ伊予絣の紺の染料は藍草から取るが、自然界を象徴する緑色は「植物の緑から緑はでない」(志村ふくみ著『ちよう、はたり』ちくま文庫)。かけがえのないものをどう守るのか。暑さに負けず、果敢に課題に挑み学びたい。(田)

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