e北朝鮮制裁決議 国際社会は「抜け穴」塞ぐ結束を

  • 2017.08.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年8月10日(木)付



北朝鮮の核・ミサイル開発に歯止めをかけるため、国際社会は結束して対応しなければならない。

大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2度にわたり発射した北朝鮮に対し、国連の安全保障理事会は、新たな制裁決議を全会一致で採択した。

北朝鮮の主要な外貨収入源である石炭や鉄鉱石、海産物などの輸出を全面的に禁止したことが最大の柱である。過去の決議では民生用の輸出を例外として認めていたが、こうした「抜け穴」を塞ぎ、実効性を高めたことは評価できる。

決議を主導した米国は、今回の措置によって、30億ドルに上る北朝鮮の年間輸出収入のうち3分の1が失われると見込む。

大きな打撃を被ることになる北朝鮮は強く反発し、「物理的行使を伴う戦略的措置」を取るとして、新たなミサイル発射や核実験も辞さない構えを示している。

今後の焦点は、加盟国が決議の厳格な履行に向けて足並みをそろえられるかどうかだ。とりわけ、北朝鮮の貿易取引の9割を占める中国がカギを握る。

折しも、フィリピンの首都マニラでの国際会議に参加していた日本はじめ関係国の外相が、決議の採択を受け活発に動いた。

このうち中国の王毅外相は北朝鮮の李容浩外相に対し、「(朝鮮半島情勢は)危機に限りなく近い臨界点にある」と述べ、米国など関係国との対話に臨むよう促したという。中国には、決議の履行によって北朝鮮への影響力を強めてほしい。

日本の河野太郎外相、米国のティラーソン国務長官、韓国の康京和外相も会談し、決議の着実な履行も含めて北朝鮮に対する圧力強化が重要との認識で一致した。国際的な包囲網を強化するためには、3カ国の緊密な連携が欠かせない。

決議はまた、北朝鮮が今後もミサイル発射や核実験を強行すれば「さらなる重大な措置を取る」として、中国の反対で今回は見送られた石油の供給停止など、もう一段の制裁強化を警告している。

北朝鮮は挑発行動を速やかにやめ、対話のテーブルに着くべきである。

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