e世界の貧困 対策加速へ日本がリード役を

  • 2017.07.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月26日(水)付



2030年までに貧困や飢餓の撲滅、安全な飲み水の確保などをめざす「持続可能な開発目標」(SDGs)。その現状と課題に関する報告書を国連が発表した。

それによると、世界では家族と同居する就業者の約1割が1日1.9ドル(約209円)未満で暮らす「極度の貧困」に陥り、発育不全となっている5歳未満の乳幼児は推定1億5500万人に上るという。

貧困が依然として深刻な問題であることが改めて浮き彫りになった。「30年までの目標達成には多くの分野で進展が遅すぎる」とのグテーレス国連事務総長の指摘を国際社会は真剣に受け止め、取り組みを加速させる必要がある。

とりわけ、ODA(政府開発援助)を通じた途上国支援の実績を持つ日本が主導的役割を発揮すべきではないか。

この点、国連本部で開かれたSDGsに関する会合で日本政府が、途上国の青少年育成のため、教育や保健を中心に18年までに総額10億ドル(約1100億円)規模の支援を実施すると表明したことは評価されよう。貧困の連鎖を断ち切るには、若者への教育がカギを握るからだ。

自治体や民間企業の取り組みも注視したい。例えば、北九州市は地元企業と連携し、水道技術を生かして東南アジア地域の水質改善を進めてきた。ガーナで地元の食材を活用し、伝統的な離乳食に加えるだけで乳幼児に必要な栄養を補えるサプリメントを開発した日本の食品会社もある。

政府は、企業や団体の先駆的な取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」などの機会を通じて、こうした優れた事例の発掘・奨励にも努めてほしい。

貧困のまん延は、紛争や過激思想の温床となりかねず、難民問題にも直結する。国内外に逃れた避難民や難民は昨年末、第2次世界大戦以降で最多の6560万人に上っており、事態は深刻だ。

こうした中、9月には混乱が続く中東から、シリア難民の留学生約20人が初めて来日する。祖国の再建を担う若者たちを大切に迎えたい。

「誰一人取り残さない」とのSDGsの理念実現へ、産官学民が垣根を越え、オールジャパンで地球規模の課題に取り組むべきである。

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