e増える空き地 地域の活性化へ どう生かすか

  • 2017.07.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月25日(火)付



地方や大都市郊外を中心に増え続ける「空き地」を地域の活性化に生かせないか。

国土交通省の検討会は、空き地などの有効活用に関する報告書を取りまとめた。空き地を貴重な資源と捉え、具体的な利用方法について提言したものだ。これを受け、同省は空き地の実態把握や活用を促進するための仕組みを検討する。地方創生につなげる手掛かりとして注目したい。

空き地の拡大は顕著だ。2013年時点で東京23区の面積の1.5倍に相当する981平方キロメートルに及び、10年間で約4割増加した。その多くは、将来活用する当てがないまま相続された土地である。地方ほど土地の買い手が見つかりにくいことも、空き地が増える一因と指摘される。

報告書のポイントは、▽自治体における空き地管理のビジョンの策定▽行政や不動産業者らによる官民一体の協議会づくり▽点在する空き地の集約化の推進―などだ。

空き地は個人の財産ではあるが、放置すれば地域社会に深刻な影響を与えかねない。報告書が国に自治体への積極的な支援策の実施を求めたことは評価できよう。

中でも特に注視したいのが、土地を地域の共有財産として管理・活用していく視点だ。例えば、東京都世田谷区では条例により、空き地所有者の税負担を軽減することを条件に区が土地を借り受け、公園用地として整備、住民に開放している。

また、土地を一時的に利用して、新たな需要を生み出すべきとの報告書の主張も見逃せない。実際、埼玉県深谷市では、区画整理で取得していた土地に市所有のコンテナを設置して、市内外の住民にイベントや打ち合わせ用のスペースとして貸し出し、にぎわいを創出している。国はこうした先進的な事例を幅広く収集、周知していくべきだ。

さらに重要なことは、空き地の有効活用に取り組む"担い手"への支援であろう。地元の企業やNPO団体など、多様な主体者が関われる手だても必要ではないか。

国には、地域の創意工夫を後押しする施策を積極的に検討してほしい。地域の実情を熟知し、国会議員とのネットワークを持つ公明党の地方議員の役割も大きい。

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