e九州北部豪雨の教訓

  • 2017.07.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月22日(土)付



流木による被害拡大を防ぐには



福岡、大分両県に甚大な被害をもたらした九州北部豪雨から2週間余り。多くの人が犠牲となり、行方不明者の捜索は今も続いている。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

被災地では、公的支援を受けるために必要な「罹災証明書」の発行や仮設住宅の申し込みが始まっている。被災者の生活再建に向け、国や自治体は総力を挙げてほしい。

今回の災害の最大の要因は、長時間にわたり大量の雨が降り続いたことだ。福岡県朝倉市では24時間の降雨量が545.5ミリに達した。平年の7月1カ月分の雨量の約1.5倍であり、これまでの記録を200ミリ以上も上回る。

追い打ちを掛けたのが、大規模な土砂崩れによって発生した大量の流木だ。これが被害を拡大させた点に今回の災害の特徴があるとされる。

これを今後の重要な教訓と受け止めなければならない。日本の国土は約7割が中山間地域であり、河川上流部からの流木が深刻な被害につながる可能性は全国各地に共通するからだ。

過去に経験のないような豪雨が相次ぐ中、流木による被害の拡大をどう防ぐか。まずは危険箇所の把握から始めたい。既に鳥取県は19日、県内全域を対象に流木被害が発生する恐れのある地点を洗い出す方針を打ち出した。

具体的な対策としては橋の改修も一案だ。橋脚に引っ掛かった流木が川をせき止め、氾濫の原因になるからだ。実際、5年前の豪雨の際に流木が引っ掛かり、周辺に浸水被害をもたらした大分県の夕田橋は、3本あった橋脚を1本に減らす架け替え工事を行い、今回は氾濫を免れた。

山から樹木が流れ出すのを防ぐ対策も重要だ。河川の上流部で木や岩などをせき止める砂防堰堤(砂防ダム)の整備を進めなければならない。

何より忘れてはならないのは、早めの避難の重要性だろう。地域住民の間で、近くに崩れやすい斜面や古い橋などがないか、確認しておくことが大切だ。自治体は「自主防災マップ」の作成など、住民の意識を高める取り組みを積極的に後押しすべきだ。

これから台風シーズンが本番を迎える。豪雨災害への備えを着実に進めたい。

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