e東洋のマチュピチュ 別子銅山が小説に

  • 2017.07.06
  • エンターテイメント/告知

公明新聞:2017年7月6日(木)付



産業遺産をPR 誘客に期待
市制80周年記念事業 出版社とコラボ企画
愛媛・新居浜市



日本の近代化に大きな役割を果たした愛媛県新居浜市の別子銅山を舞台にした小説「別子太平記」(井川香四郎著、徳間書店)が先ごろ、全国の書店などで発売が開始された。


公明市議の提案実る

観光振興の一環として、地元の歴史的産業遺産を題材にした小説の発刊を考えていた同市が、地元出身の小説家で脚本家の井川氏に依頼し、徳間書店とのコラボレーションで実現したもの。別子銅山を生かした観光振興については、公明党の真木増次郎市議が2010年12月定例会で、小説やエッセーによる地元への誘客促進策の実施を要望していた。

同銅山は日本三大銅山の一つで、1691年から1973年の閉山までの283年間で約65万トンの銅を産出し、日本の近代化を支えた。約1000メートルの山頂付近から掘り始めた坑道は、地下1000メートルまで達し、総延長は約700キロに及ぶ。2007年度には、経済産業省が近代化産業遺産に認定。同銅山の最盛期には約1万人が山あいで生活し、現在も鉱物輸送用の鉄道跡や、鉱石を一時的に貯蔵する巨大な貯鉱庫跡などが残っている。

特に、標高約750メートルの東平地区は、世界遺産に登録されているペルーのマチュピチュに雰囲気や外観が似ていることから、大手旅行会社が、「東洋のマチュピチュ」と宣伝したツアーを企画したことで、人気に火が付いた。雑誌やインターネットの口コミでも広がり、知名度が大幅にアップ。08年までは、年間1万人に満たなかった観光客が、昨年は約5万3000人に上り、観光名所としてすっかり定着している。

小説では、日本の貿易や近代化に大きく貢献した様子や、世界屈指の鉱山の周りで活躍した人々などが生き生きと描かれている。同市は今年、市制施行80周年を迎え、その記念事業として、PRに力を入れており、「観光振興の起爆剤にしたい」(市運輸観光課)考えだ。

同市はこれまで、大阪や東京での別子銅山企画展やテレビドラマの放映など、視覚的に観光情報を発信してきたが、今回は小説という活字による情報発信で地域産業の活性化を狙う。

市別子銅山文化遺産課の秦野親史課長は、「全国にネットワークがある出版社とのコラボ企画なので、小説を読んで別子銅山のことを多くの人に知ってもらいたい」と話していた。

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