e災害廃棄物 東京都策定の処理計画に期待

  • 2017.06.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月21日(水)付



大災害時に発生する大量の災害廃棄物。建築物の倒壊などによるがれきをはじめ、被災住民が排出する生活ごみや仮設トイレからのし尿なども含まれる。
がれきが道をふさげば、支援物資を運ぶ車両の移動を妨げ、生活ごみの放置は悪臭や害虫の発生源となる。被災地の復興に支障をきたす災害廃棄物をどう処理すべきか、真剣に考えなければならない。
いつ起きても不思議ではないとされる首都直下地震に備え、東京都は今月、「災害廃棄物処理計画」を策定した。同計画は、災害廃棄物を一時的に保管する仮置き場や、その後の処理方法について定めるものだ。
都は、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きた場合、最大で約4300万トンの災害廃棄物が都内に発生すると試算。これは東日本大震災を大きく上回る規模なだけに、処理計画の策定が待たれていた。
とりわけ注目したいのは、災害廃棄物の再資源化に向け、リサイクルを推進するとしていることだ。
東日本大震災では、災害廃棄物と津波による堆積物が混合し、リサイクルが困難だったため減量化が進まず、仮置き場にいつまでも放置されるという事態に陥った。
この教訓を踏まえ計画では、災害廃棄物が発生したら、都と市区町村が連携して速やかに徹底した分別を行えるよう、平常時から訓練や演習を実施する。
また、東日本大震災以降、被災地に応援に駆けつけた他の自治体の職員を被災自治体が受け入れる「受援」が重視されている。
都の計画では、災害時に都外の自治体に人材支援を要請する場合、都外の行政職員に依頼する業務などを事前に定めておき、受け入れをスムーズにする体制を整備する。同時に、都外の自治体から都に災害廃棄物処理に関する応援要請があった場合も、都の専門の職員などを派遣できるように準備を進める。
東京都は、都議会公明党の働き掛けもあり、東日本大震災の際、岩手と宮城両県で発生したがれきを全国で真っ先に受け入れた。こうした経緯が、今回の計画に生かされていることは言うまでもない。

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