eコラム「北斗七星」

  • 2017.06.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年6月6日(火)付



「誰彼構わず刺していた。悪魔だ」。英紙に載った短い証言に、現場にいた市民らの恐怖が込められていた。先月22日に自爆テロが起きた英国で3日夜、凶行が繰り返された。ロンドンの繁華街でワゴン車を使い通行人をはね、ナイフで無差別殺傷に及んだ◆前回テロからわずか12日。マスコミの第一報によれば、通報から容疑者3人の射殺まで8分間。そのわずかの時間に7人の命を奪い、48人にけがを負わせた。無差別テロの狂気は、卑劣な犯行をいとも簡単にやってのける◆不特定多数が集まる繁華街などは警備が手薄な「ソフトターゲット」と呼ばれ、未然防止が難しい。英語のテロリズムの語源はラテン語の「恐怖」に由来するが、「いつ自分が被害に遭ってもおかしくない」との恐怖心を社会に巻き起こす◆難題だが、それでも次なる犠牲を防ぐためには、専門家が指摘するように、警備や市民による情報提供体制の強化、国際連携などの対策を一つ一つ積み重ねるしかない◆テロ防止は、五輪を3年後に控えた日本も人ごとではない。国会では、参院に舞台を移しテロ等準備罪の創設などを盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を審議中だ。同様の国内法は多くの国で整備され、いわば国際標準になっている。いたずらに不安をあおっている場合ではない。(辰)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ