e放課後 児童の安心な居場所

  • 2017.05.31
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2017年5月31日(水)付



空き教室利用し、見守り
勉強会など充実 希望者を全て受け入れ
東京・品川区「すまいるスクール」



都議会公明党は、目前に迫る東京都議選の重点政策に「親の就労に関係なく、全ての児童を対象とする放課後子ども教室の全公立小学校への設置」を掲げている。そこで放課後対策事業の先進的な取り組みとして注目を集める品川区の「すまいるスクール」を紹介する。


全区立小で実施

「こんにちはー」。平日の午後3時ごろ、東京都品川区の区立第二延山小学校で授業を終えた1年生たちが校舎1階に続々とやってきた。「すまいるスクール」の受け付けを済ませるためだ。スタッフに名前と帰宅時間などを確認してもらった児童から教室にランドセルを置いて、それぞれの"居場所"に移動する。

この日は、全学年合わせて155人の児童が同スクールに参加。遊具で遊んだり、宿題や読書に取り組む子がいる一方で、校庭ではサッカーや一輪車などを楽しむ姿も見られた。

2年生の女児は「違う学年のお友達が7人できた」とうれしそう。また、工作に熱中していた3年生の男児は「好きな遊びができて楽しい」と満面の笑みを浮かべていた。

同区の「すまいるスクール」は、全児童を対象とする「放課後子ども教室」(文部科学省所管)と就労家庭などの児童を対象とする「放課後児童クラブ」(厚生労働省所管)を"一体型"で運営している事業。同校をモデル校として2001年度からスタート。06年度からは、区立小学校の全37校で実施している。

一体型の特徴は、登録さえすれば午後5時までは親の就労に関係なく、全児童が誰でも参加できる点にある。利用料は月250円。日曜・祝日、年末年始を除いて利用できる。なお、親の就労など理由がある場合は、午後7時(4年生以上は6時)まで利用が可能だ。利用料は別途かかる。

同スクールは学校内で実施されるため、保護者から「安心して子どもを預けられる」と好評だ。校内の空き教室を活用した専用スペースや図書室、校庭が主な活動場所で、運営に携わる区職員や委託スタッフらで構成する担当指導員約10人が見守る。

児童はクラスや学年を越えて交流ができるほか、日によってはパソコンや囲碁などを学ぶ「教室」、学年ごとに算数と国語を復習する「勉強会」にも参加できる。今では、区内全児童の70%近くが登録している。


学校と地域が連携

一体型を円滑に運営するには、学校と地域の連携が欠かせない。そこで同校では、定期的に学校の職員会議などに担当指導員が出席し、児童の状況を共有するなどしている。各種教室については、地域の大学生や高齢者、子育て・教育支援に関わるNPOなどの協力を得て、多彩なプログラムを実施。こうした取り組みが評価され、同校は08年、文科省の「第1回放課後子ども教室推進表彰」に選ばれている。


公明「小1の壁」解消へ推進

公明党は、子どもが小学校に入学すると、放課後の預け先が見つからず、母親が仕事を辞めざるを得なくなる「小1の壁」解消に向け、放課後児童クラブの拡充を訴え続けてきた。14年5月に国へ申し入れた「女性の元気応援プラン」では、全自治体での待機児童解消を強く主張した。

これを受け政府は、全児童の安全・安心な居場所を確保するための「放課後子ども総合プラン」を策定。18年度末までに放課後児童クラブの受け皿を約30万人分拡大するとともに、東京・品川区のような一体型を1万カ所以上とする目標を掲げた。

しかし、文科省と厚労省によると16年3月時点で、一体型の実施箇所数は3549カ所の状況だ。

こうした現状を踏まえ、都議会公明党は、都議選重点政策に、全公立小学校への一体型の設置を盛り込んだ。放課後児童クラブの待機児童解消と、将来を担う子どもの健全育成にさらに力を入れていく。


健全育成促す"一体型"


白梅学園大学大学院 無藤隆特任教授

共働き家庭が増える中で、待機児童の解消と、子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりをめざす「放課後子ども総合プラン」はとても重要であり、推進に向けてさらなる努力が必要です。

国は、プランの柱として就労家庭などの児童を対象とする「放課後児童クラブ」の拡充とともに、全学年を対象とする「放課後子ども教室」との一体的な実施を目標に掲げています。

特に"一体型"は、子どもたちの健全育成にとっても意味があります。学年に関係なく触れ合うことができ、クラスの友達とも遊べる。そして、その場所が学校であればなお安心です。

重要となるのが安全管理の責任体制であり、子どもたちの間で不平等感が生まれないよう配慮することです。保育の充実へ、空き教室をはじめとする既存施設の活用など、地域の実情に合わせた、関係者の知恵と工夫が求められています。

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