eスポーツ産業の振興 国民の健康増進につなげてこそ

  • 2017.05.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月27日(土)付



2019年のラグビーワールドカップや20年の東京五輪・パラリンピックなど、日本では国際的なスポーツ大会が続く。この期間を国民の健康増進と、それにつながるスポーツ産業育成へのチャンスと捉えたい。

公明党は、政府に申し入れた成長戦略に関する提言の中で、スポーツ産業の活性化を主張し、党内に「スポーツ産業振興委員会」を設けて具体策の議論に乗り出した。

スポーツ産業は、プロ・アマチームの興行・放送をはじめ、各種競技用品の製造・販売やフィットネスクラブの経営など、裾野の広さが特徴だ。欧米諸国は有望な産業と位置付け、投資を加速させている。

だが、日本の市場規模は約5.5兆円で米国の約50兆円に遠く及ばない上、近年は減少傾向にある。成長産業としての魅力を生かし切れていないことは明らかだ。

そこで政府は、市場規模を20年に10兆円、25年に15兆円に拡大する目標を設定した。

具体策としては、スポーツ観戦の場となる競技場や体育館を、飲食・宿泊機能などを充実させた収益性の高い施設に転換することや、スポーツを楽しむための旅行「スポーツツーリズム」の振興、スポーツにおける先端科学技術の活用などを進めていく。

国民の健康増進に役立てるという視点も忘れてはなるまい。超高齢社会を迎え、健康長寿は多くの国民の願いとなっている。スポーツ産業の振興を、こうしたニーズに応えるものにする必要がある。

この点、気掛かりなのは、成人が週1回以上、運動やスポーツを行う「スポーツ実施率」は42%程度にすぎないことだ。政府は、実施率の高さで有名なフィンランド並みの65%程度にまで高めたいとしている。誰でも気軽に体を動かせる環境づくりや、その意識啓発へ、官民挙げた取り組みを求めたい。

運動やスポーツを病気の予防などにつなげることで、健康で活動的に暮らせる「健康寿命」が伸びることが見込める。施設面の拡充だけでなく、スポーツ医学などの知見に基づいた運動プログラムの開発を進めることも望ましい。

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