eコラム「北斗七星」

  • 2017.05.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年5月20日(土)付



19日の衆院法務委員会で可決された「テロ等準備罪」の新設をめざす法案の目的の一つは、テロの未然防止にある。各国で凶悪なテロ事件が後を絶たない現実を見れば、テロを防ぐための法整備に反対する国民はいないはずだ◆にもかかわらず、賛否が拮抗する世論調査もあるのは、「内心の自由が侵害される」「監視社会になる」といった批判が繰り返されているからだろう。「一般人も捜査の対象になる」などと聞かされれば、賛否の判断も揺れ動く◆与党は同委員会審議を通じて、一連の批判がいかに的外れかを明らかにしてきた。公明党の質問に法務省刑事局長は「一般の人にテロ等準備罪の嫌疑が生じることはなく、捜査対象になることはない」と明言。参考人の意見表明では井田良・中央大学大学院教授が「思想や悪い意思を処罰するという批判は当たらない」と明快に述べている◆結局、同法案への批判は、平和安全法制を巡って"自衛隊が地球の裏側まで行って戦争する"などと喧伝したのと同じ類い。同法制が施行されて1年以上たつが、"戦争法"はレッテル貼りの典型であったことは事実が物語っている◆今回は、不安をあおるために戦前の治安維持法まで持ち出しているが、人権規定がある現憲法の存在を考えれば、時代錯誤も甚だしい。(辰)

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