e再エネの普及 バイオマス発電の活用進めたい

  • 2017.05.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年4月29日(土)付



地熱や風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーの本格導入に向け、環境省は初の長期戦略を策定する。

政府のエネルギー基本計画の見直しや予算編成など政府の地球温暖化対策に生かす方針で、今夏にも戦略の第1弾を発表する予定だ。再エネの普及に弾みがつくような具体策を望みたい。

温室効果ガスの排出量が世界5位の日本が、再エネの普及に向け長期戦略を策定することは、脱炭素社会の実現に向けた姿勢を国際社会にアピールすることにもなろう。

温暖化対策を進める国際的枠組み「パリ協定」に基づき、日本は、2030年の排出量を13年比で26%減、50年には80%削減をめざしている。目標達成は容易ではないが、化石燃料の使用を減らし、再エネの割合を増やしていく以外にない。

欧米各国では再エネの活用が進んでおり、デンマークは国内発電量の約5割、ドイツは約3割に上る。一方、日本は12%程度にとどまり、出遅れているのは明らかだ。

欧米で普及が進んだ背景には、低コストで大型の風力発電所や大規模な太陽光発電施設の整備が大きい。これは、一定の風が吹く環境や広大な平地が多いといった"地の利"を生かしたものであり、日本でも特性を生かした取り組みが求められよう。

この点で注目したいのが、バイオマス発電だ。家畜のふん尿や食品廃棄物、木質廃材などの有機ごみを燃やし、発生した熱で発電する。

1日10万トン以上の廃棄物が発生する日本では、焼却施設が広く普及している。バイオマス発電を進める上で強みとなろう。

バイオマス発電施設は増加傾向にある。利用されるバイオマスの量は、15年現在で2400万トンに上り、政府は25年に2600万トンまで引き上げることを目標に掲げている。ただ、発電効率は大型のバイオマス発電でも20%程度とも指摘されるなど、発電技術の向上が急がれる。

政府は「地域エネルギー事業」として自治体から事業計画を募り、再エネの導入に取り組む事業体を全国に100カ所程度整備することをめざしている。バイオマス発電の普及にも活用したい。

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