e自転車の活用 事故防止の環境整備、最優先に

  • 2017.04.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年4月28日(金)付



環境に優しく、健康づくりに役立ち、災害時には有効な移動手段となる―こうした自転車の特性を生かせる社会をめざしたい。

昨年の臨時国会で成立した「自転車活用推進法」が、5月1日に施行される。石井啓一国土交通相公明党)を本部長とする推進本部も発足する。同法は、自転車の活用に関する初めての法律であり、関連施策が大きく進むことが期待される。

自転車活用推進法では、基本方針として(1)自転車の専用道路や路面標示による通行帯の整備(2)自転車を貸し借りできるシェアサイクル施設の普及(3)交通安全教育の啓発(4)国民の健康づくり(5)災害時の有効活用―などを掲げた。公明党の提言が随所に反映されている。

今後、国は基本方針に沿って推進計画を決定し、都道府県と市区町村も地域の実情に応じた計画を策定していく。

忘れてはならないことは、「事故防止」の視点である。車道通行が原則の自転車にとって、安全に走れる空間をどう確保するか。この課題への取り組みを急ぎたい。

実際、交通事故全体の件数は2015年までの10年間で4割も減少したが、歩行者が巻き込まれる自転車事故に限ると横ばいだ。自転車先進国である欧米諸国に比べ、日本では自転車乗用中に亡くなる人の割合が高いとの指摘もある。事故防止を最優先する環境づくりをめざすべきだ。

そのためにも、まずは基本方針にあるように自転車専用道路や通行帯などの整備が求められよう。

これまでも国は、学校や商業地、主な居住地区などを結ぶ道路を「ネットワーク路線」と位置付け、自転車が安全に走行できるような対策を自治体に求めてきた。

だが、その整備計画を策定した自治体は、16年4月現在で1割に満たない。道路事情や財源などの課題が壁となっているのではないか。一方、自転車施策を専門とする担当部署を設けたり、自転車の活用に関する条例を制定している自治体もある。

自治体間の格差が広がらないよう、自転車活用推進法の施行を契機に国と自治体が連携を強めることも必要であろう。

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