eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月24日(月)付



思い出すだけで頬が緩む。動物病院の待合室で見たビデオのこと。黒い子猫と母代わりの白いマルチーズの話だった。子猫は犬の乳を吸い、犬は子猫を守るため、遊びに来た友達の犬を、ほえて追い返す◆ある日、犬に2匹の子が生まれる。成長した猫は寂しそうなそぶりを見せるが、弟妹のように、なめてかわいがり、隙を見て空いた犬の乳を吸う。猫の好きにさせる犬。自然と心が和んだ◆ときに人間を癒やしてくれる犬や猫。『愛犬がくれた未来』と見出しが付いた記事(読売新聞)の切り抜きが手元にある。JR福知山線脱線事故(2005年4月25日)に巻き込まれた女性の話だ◆大学2年生だった彼女が同事故で車いす生活を余儀なくされてから10年目の記事。彼女は「何度も『死にたい』と思っていた入院中、両親が3匹の愛犬と見舞いに来た」と語り始める◆そして「このうち目の不自由な1匹が懸命にしっぽを振り、すり寄ってきてくれた。幼い頃から一緒に暮らした家族のような存在。今をひたむきに生きる大切さを教わった気がした」と◆そんな彼女が事故後を振り返った著『キャッチ!』(ポプラ社)の次のくだりが忘れられない。「死にさえしなければ、この世界には、無限の可能性が広がっています。だから、あきらめずに一歩を踏み出したい」。(六)

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