eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月21日(金)付



北海道新幹線と同時に開業して1年。並行在来線の経営を引き継いだ第三セクター「道南いさりび鉄道」の健闘が光る。採算面で厳しいローカル線を、明るい話題でリードしているのが観光列車「ながまれ海峡号」だ◆「ながまれ」とは、「ゆっくり、のんびり」を意味する方言。函館市から北斗市を通って木古内町まで、延長40キロほどの道のりを4時間かけて往復する。車窓から海辺の絶景を望み、地元食材にこだわったスイーツや新鮮な海の幸に舌鼓。速さと乗り心地では新幹線に劣っても、旅情は満点といえる◆新幹線開業に伴って全国に誕生した第三セクターで、初年度から観光列車を走らせた例はなかった。実現の背景には、企画やPR活動などを民間旅行会社に全て任せ、同鉄道はダイヤ編成や安全運行などの業務に専念、明確に役割分担したことがある◆「おかげで、低価格で質の高いサービスを提供できた」と小上一郎社長。予約が取りにくいほどの人気ぶりでアピール力は抜群、「普段の利用者も旧在来線時代より増えた」とも。今年度は増便を予定し、案内スタッフも新規採用した◆人口減少が進む中、あらゆる手段で収益性を高めなければ"地域の足"としての役割も守れない。小さな鉄道のユニークな挑戦が、各地の模範となるか。今後も期待したい。(武)

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