e改正雇用保険法のポイント

  • 2017.04.17
  • 情勢/解説
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公明新聞:2017年4月16日(日)付



公明の主張、随所に反映 
経済政策の成果生かす



雇用保険料の引き下げや失業手当の拡充などを柱とする雇用保険法など関連改正法が3月末に成立し、4月から一部が施行されている。公明党の主張が随所に盛り込まれた同改正法のポイントについて解説する。


雇用情勢の改善を受けて4月から保険料引き下げ

雇用情勢の改善を受け、毎月の給与から天引きされる雇用保険料が4月から引き下げられた。公明党が推進してきたものだ。

具体的には、雇用保険料(労使折半)が総賃金の0.8%から0.6%に下げられ、失業手当に関する国庫負担の割合も13.75%から2.5%に軽減される(いずれも3年間の暫定措置)。労使の負担軽減はそれぞれ年約1750億円が見込まれる。

雇用情勢の好転は、自公連立政権による経済政策が着実に実を結びつつあることを示している。2012年12月の政権発足時から始まった景気回復は3月で52カ月連続となり、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目を更新する。完全失業率(2月)も2.8%と22年2カ月ぶりに2%台を記録し、完全雇用の状態といわれるまでになった。

こうした背景から、雇用保険料を支払う労働者が増える一方、失業手当の受給者は減少。雇用保険の積立残高が高水準にあり、保険財政の安定的な運用が見通せるため、保険料の引き下げが可能になった。


失業手当増やし日数延長。「氷河期」世代に手厚く

失業手当の拡充については、公明党の訴えを受けて、バブル経済崩壊後の不況期に社会人となった「就職氷河期」世代を手厚く支援する。

この世代では、不本意ながら非正規のまま働いている、もしくは無職である人が少なくない。また、同世代に該当する30~45歳未満の離職者は、失業手当の給付期限内に就職できる割合が全体平均に比べて低い。

そこで4月から、倒産や解雇により離職した30~45歳未満で、雇用保険の加入期間が1年以上5年未満の労働者について、90日間の給付日数を延長。30~35歳未満は120日、35~45歳未満は150日に拡充された。

一方、近年の最低賃金の引き上げなどの動向を踏まえ、8月から失業手当を全受給者でアップする。

来年1月からは、在職中のキャリアアップを支援するため、専門実践教育訓練給付も拡充される。この給付は、看護師や経営学修士(MBA)といった資格の取得など、国指定の専門的な講座を受けると、費用の一部が支給される制度だ。

現在は、受講費用の40%に資格取得時の20%を加えた最大60%が給付されている。改正法では受講費用が40%から50%に拡大され、給付率は最大70%となった。受講費の上限額も、現行の年32万円から同40万円まで増額される。


育児休業、最長2歳まで。事業主が制度周知に努力

育児休業(育休)を取りやすくする環境整備も大きく前進する。

公明党の主張を反映し、10月から育休期間が6カ月間延長され、子どもが最長2歳になるまで育休を取得できる。併せて、休業給付の期間も延長される。

原則1歳までの育休期間は、保育所に入れない場合、6カ月間延長できる。ただし、保育園への入所時期は一般的に年度初めであり、1歳半に達してから年度末までの期間は、保育園に預けられない上に育休も取れなかった。

今回の措置により、保育所に入れないなどの理由でやむなく離職する事態が減ることが期待される。

また、育休の取得を希望しながら、取得しづらい職場の雰囲気を理由に諦めることを防ぐため、事業主が対象者に制度の周知・勧奨に努めるよう規定。男性の育児参加を促すため、就学前の子どもがいる労働者を対象にした育児目的休暇制度の新設についても努力義務とされた。いずれの規定も10月から適用される。


ハローワーク、ブラック企業の求人拒否が可能に

違法な長時間労働を繰り返すといったブラック企業に対する規制が強化される。

具体的には、労働関係法令違反の企業からの求人をハローワークなどが受理しない仕組みをつくる。就職後のトラブルを未然に防ぐことが目的だ。関連改正法が成立・公布された3月末より3年以内の適用となる。

この規定は、公明党が成立を推進した若者雇用促進法の内容に沿ったものだ。

同法に基づき、ハローワークは昨年3月から、ブラック企業からの「新卒者向け求人」の受理を拒否できるようになっており、法改正で対象を「全ての求人」にまで拡大した。

また、ハローワークに虚偽の求人を出した企業は、来年1月から罰則の対象となる。指導勧告の規定も整備され、従わない場合は企業名が公表される。

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