eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月15日(土)付



先月末に開かれた国連の「核兵器禁止条約」制定交渉会議は、核兵器の使用、開発、保有などを法的に禁止する条約を作る方向で大筋一致した。6月15日からの次回会議で成案が採択される見込みだ◆交渉を主導する非核保有国は対人地雷禁止条約などをモデルに、核保有国が不参加でも条約を発効させたい考えだ。しかし、反発する保有国や「核の傘」に依存する国は会議をボイコット。対立が深まっている◆保有国抜きの条約の実効性を疑問視する声は根強い。「核弾頭が1発も減らないという事態を招く」との見方もある。その中で、広島、長崎両市長が会長、副会長を務めるNGO「平和首長会議」の小溝泰義事務総長は、検証措置など将来の保有国の参加に余地を残す条項を入れ条約案に発展性を持たすよう提言。現実を見据えた"代案"で存在感を示した◆平和首長会議は、世界の都市が連帯し、核兵器の廃絶をめざす国際機構だ。4月1日現在、世界162カ国・地域の7247都市が加盟。核保有国の都市にも広がっており、その総人口は10億人に及ぶ◆「核兵器は非人道的兵器の極みであり、絶対悪」という考えが、世界の人びとの常識となるならば、「核抑止」を基軸とする安全保障体制は内側から空洞化していくにちがいない。平和首長会議の挑戦に期待したい。(中)

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