e熊本地震から1年 公明党が復興を後押し

  • 2017.04.14
  • 情勢/社会
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公明新聞:2017年4月14日(金)付



熊本地震から1年。被災地は、今なお多くの課題を抱えながらも、着実に歩みを進めている。復旧・復興に向け、公明党が推進した「グループ補助金」や「九州ふっこう割」を通じて、再起に取り組む姿を紹介する。=熊本地震取材班


グループ補助金


中小企業の復旧を支援


「再起への意欲が湧いた」

「補助金のおかげで、再起への意欲が湧いた」と語るのは、熊本県西原村にガラス製品とアルミサッシの工場を持つ日の丸産業株式会社(熊本市)の奥村拓司代表取締役社長だ。

昨年4月16日の本震は、同社の商品のほか工場内の設備などに、深刻な被害をもたらした。「事業の規模縮小も考えた」と、奥村社長は当時を振り返る。

同社は、本社が熊本市南区の流通団地内にあるため、同団地で被害に遭った約30社と共に補助金を受けるためのグループを結成し、申請を行った。

グループ補助金は、被災した企業が複数でグループをつくり、共同で作成した復興事業計画に基づく施設・設備の復旧工事に対し、15億円を上限に、費用の最大4分の3(資本金10億円未満の中堅企業には2分の1)を国と県が支援するもの。同補助金は公明党の推進で2016年度補正予算に盛り込まれ、昨年7月から公募が始まった。

昨年9月の第二次公募からは、補助の対象外だった、大企業から一定の出資を受けている中小企業(みなし大企業)も対象となるなど、制度が拡充。今年3月には、第三次公募が実施された。

昨年8月末に認定を受けた奥村社長は「グループ補助金がなければ、完全復旧は厳しかった。推進してくれた公明党には感謝している」と喜びを語っていた。

熊本ホテルキャッスル(熊本市)の斉藤隆士代表取締役社長は「廃業か再建か、正直迷っていた」と、地震直後を振り返る。

1960年に開業した県のシンボル的な同ホテルも、地震により宿泊客を受け入れるメドが立たないほどの被害を受けた。

そんな中でグループ補助金の話を聞いた斉藤社長は、市観光旅館ホテル協同組合と同ホテルの関連業者13社でグループをつくり申請し、認定を受けた。3月末には全ての復旧工事が完了したため、今後、補助金が交付される予定となっている。

斉藤社長は「補助金がなければ、被害があった企業の3分の1は廃業していただろう。公明党のおかげで助かった」と安堵の表情を浮かべ、「補助金を受けるからには、必ず立ち上がってみせる」と意気込みを見せた。

県商工振興金融課によると、これまでに436グループが申請し、96.3%に当たる420グループが認定を受けている。補助金の交付が決定している企業は県内で1696事業者あり、補助金の総額は447億2000万円に上っている(4月7日現在、資料1参照)。

中小企業が震災から立ち上がるには、事業の再建とともに中長期的な景気対策や需要喚起が欠かせない。そのためにも、今後、さらなる国や県の経済活性化策が求められている。


九州ふっこう割


魅力ある観光地 再び


「訪日客戻り、大きな弾みに」


「ふっこう割がなければ、宿泊者数は例年の半分以下だったはず。助かった」。熊本県阿蘇市内にある「阿蘇プラザホテル」の野口敏浩副支配人は、ほっと胸をなで下ろす。

「九州ふっこう割」は、熊本地震の影響で約75万人の宿泊にキャンセルが出た九州の観光支援に向け、公明党の推進で昨年7月から半年間にわたって実施されたもの。九州内での旅行が国からの助成によって最大70%引きされ、観光振興に大きく貢献した。

熊本地震が起きた直後、雄大な景観と豊かな自然環境を誇る阿蘇地域は、主要な国道57号やJR豊肥線が寸断され、観光客が激減した。追い打ちを掛けるように昨年10月には、阿蘇山が噴火。自然災害が猛威を振るった。市観光協会の松永辰博事務局長によると、2016年の年間宿泊者数は前年の約78万人から、約40万人に半減したという。それでも「ふっこう割の効果で、なんとか首の皮一枚でつながったと思う」と語っていた。

今年2月には、公明党の訴えもあり、観光庁と県が阿蘇地域への宿泊旅行を25%引きとする「阿蘇応援ツアー」事業を実施(3月20日まで)。ホテル関係者によると、一定の観光客が訪れ、手応えがあったという。

しかし、完全に人出が戻ったわけではない。国道57号はいまだに復旧のめどは立っておらず、市観光課の秦美保子課長は「国の補助も終了し、これからが正念場。今後、阿蘇の大自然に触れてもらえるような体験型ツアーの企画など、観光の充実を図りたい」としている。

一方、由布院温泉で知られる大分県由布市では、ふっこう割に対する喜びの声が広がっている。同市では地震直後、風評被害の影響で客足が遠のいていたが、ふっこう割によって客足は徐々に回復し、昨年9月は前年の約9割並みに。市内の旅館「絶景の宿湯布院山荘吾亦紅」の大塚哲心代表取締役は、「一時低迷していた海外からの観光客も増えた。(ふっこう割が)仕事を続ける上で大きな弾みになった」と笑顔を見せた。



九州の延べ宿泊者数は地震が起きた昨年4月から6月までは前年同期と比べ減少したが、7月からは回復している。また、ふっこう割を利用した宿泊者数は九州全体で約271万9000人に及び、目標150万人を大幅に上回った。九州の観光振興に携わる一般社団法人・九州観光推進機構は4月から、各県や観光関連事業者と連携し「九州からありがとうキャンペーン」を展開。各施設が宿泊者に対して独自のサービスを行っている。

観光客の誘致には財政的な支援に加え、地域を挙げた取り組みが必要だ。九州の観光業再建へ、被災地の観光関係者は懸命に走り続ける。


郷土の再建へ決意も新た


党熊本県本部 城下広作代表(県議)

昨年4月、2度にわたる震度7の激震に見舞われ、未曽有の被害をもたらした熊本地震から1年がたちました。これまで、全国各地からさまざまな形で温かいご支援を頂き、心から感謝と御礼を申し上げます。

党県本部は、発災直後から全議員が一丸となり、被災地の隅々まで奔走。被災者一人一人の声に耳を傾けながら、現場が必要としているものを肌身で感じ取り、国・県に訴えてきました。

これにより、インフラ(社会資本)の早期復旧や、仮設住宅の建設促進、グループ補助金の活用による被災中小企業の経営支援など、一刻も早い生活再建に向けた事業を強力に後押しすることができました。

一方で、本格的な住まいの確保や、雇用対策の強化、被災した子どもたちの心のケアなど、長期的な視点で取り組むべき課題は多く、被災地の復旧・復興は、いまだ道半ばです。

今後も郷土の再建に尽力するとともに、将来起こり得る震災などに備え、災害対策や支援のあり方を検証していきます。震災前より良くなったと言われる「創造的復興」をめざし、全身全霊で取り組んでいく決意です。

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