eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.12
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月12日(水)付



沖縄出身で本土に空手を普及させた松濤館流開祖・船越義珍は「空手に先手なし」との格言を残した。那覇市内に建つ顕彰碑に刻まれている。文字通り、空手の形は受けから始まる。相手を倒すのではなく、己に打ち勝つのが空手の目的との教えだ◆空手の精神性を表す言葉には、こんなものも。「人に打たれず、人打たず、事なきをもととするなり」(剛柔流開祖・宮城長順)。厳しき修練は、究極のところ相手と戦わないためにある。ここまでくれば空手は"平和の武術"と言っても過言ではあるまい◆現在、世界には1億人以上の空手愛好家がいると言われる。2020年の東京五輪では空手が追加競技に決まり、日本勢のメダル獲得に期待も高まっている。先月、公明党沖縄県本部が推進してきた「沖縄空手会館」が豊見城市内に開館した。世界中の愛好家が沖縄を訪れ、鍛錬を積んでいる◆そんな空手の心が息づく沖縄では72年前、住民を巻き込んだ激しい地上戦が繰り広げられた。引き金は空手の心に反した旧日本軍の真珠湾への先制攻撃。忘れてはならない史実である◆北朝鮮やシリアなど国際情勢が緊迫している。今こそ、各国の指導者は空手の精神に学ぶべきだ。今一度、「先手なし」との言葉を心に刻みたい。そうすれば争いごとなど起きないに違いない。(治)

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