eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月5日(水)付



久々のふるさと。車いすの高齢者が乗ろうとすると、バスの乗客たちが一斉に立ち上がった。乗車を手助け、通路をあけ、車いすを固定する。あっけにとられた妻と息子は、「当たり前のように、みんな手を貸すんだね」と驚く。運転手は手順を説明して事足りた◆では、東京ではどうなのか。障がい者や子育て・介護経験のある人、さらに外国人を重点的に対象とした都の調査結果はなかなか興味深い。困っている人を見かけた時、「積極的に声をかけ、手助けする」のは約21%、「時間があれば」を加えると58%。対して「しばらく様子を見る」と「何もしない」は合わせて26%◆その理由は、4割を占める「どうしていいか分からない」以下、「かかわるとかえって悪い状態になる」「恥ずかしい」「面倒だ」などが続く。20代の若者の7割近くが「分からない」としている◆目をひくのは、外国人の45%が「東京は助けを求めやすい」と答えていること。また、全体の6割以上が手助けして感謝された経験を持ち、半数近くは手助けしてもらったことがあると答えている。東京もそう捨てたものではない◆困った人に声をかけ、手助け。いざとなると心の中の何かがじゃまをする。そんなバリアを取り除くのは、ちょっとした勇気と、周囲の温かい笑顔だろう。(繁)

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