eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月4日(火)付



電子書籍や通販、コンビニの影響で街の本屋が次々と姿を消している。先日も、たまに立ち寄る駅構内の店がシャッターを下ろしていた。全国では、1日に平均1店が廃業しているという◆そんな中、職場近くの本屋が元気だ。20坪ほどの店舗は、大型店にはない、こだわりを感じさせる。職場が現在の場所に移転して来た一昨年、「いったい、どなたが選書を?」と尋ねると、女性店員が「店主です」と教えてくれた◆その店主、大井実さんのエッセーが最近、店に並んだ。新刊本が自動的に本屋に割り振られる日本の配本システムの弊害や、開業、仕入れの苦労話を綴った『ローカルブックストアである』(晶文社)。大井さんは配本に頼らず、並べる本をすべて自分で選ぶ。カフェとパン屋を併設し、作家を招いてのトークイベントもある◆「地域に根ざした町の本屋でありながらも、よく見ると、深い世界に誘ってくれる水先案内人のような本がしっかり揃っている小さな総合書店」が理想だ。客の「読みたい本」と店側の「読んでほしい本」がバランス良く棚に収まっている◆「読みたい」と「読んでほしい」のバランスは、新聞づくりにも通じる。公明新聞は2日、創刊55周年を迎えた。読者の期待に応えられる紙面づくりに、日々精進してまいります。(也)

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