e建設職人基本法 一人親方の安全、健康守りたい

  • 2017.03.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年3月22日(水)付



建設現場で働く人たちの安全を確保し、処遇改善につなげる一歩としたい。

一人親方を含む建設工事従事者の安全と健康を守ることを目的とした建設職人基本法が16日、施行された。官民の工事を問わず、国や都道府県、元請け企業に、建設現場で働く人に対する労災保険料を含む安全衛生経費の確実な支払いや、一人親方の保護に必要な施策を求めるものだ。

背景には、他の業種に比べて労災死亡事故の発生件数が多いという建設現場の深刻な現実がある。

実際、2015年には全業種の3割強を占める327人の建設現場労働者が亡くなった。「1日に1人の尊い命が失われている」といわれるほど、常に重大なリスクに直面しているのである。それだけに、設計・施工の段階で安全と健康に必要な措置を講じることを、同法の基本理念とした意義は大きい。

とりわけ、一人親方にとって心強いのではないか。

一人親方は雇用者ではなく、元請け企業などと雇用契約を結んで働く個人事業主であり、特別に任意加入しない限り労災保険による補償は受けられない。労災保険に未加入なら、けがをしても治療費は自己負担となる。とはいえ、元請けに処遇改善を求めることは現実的には難しい。

立場の弱い一人親方をどう守るか。この点が、今回の法整備の柱の一つになったことは言うまでもない。

このため基本法では▽建設工事の請負代金に一人親方などの安全と健康に関わる経費を元請けが積算・明示し、確実に支払われるようにする▽工事現場の安全点検や労災保険加入状況の把握を促進する―などの取り組みを発注者側に求めている。一人親方を巡る環境を大きく改善する契機としたい。

基本法に基づいて政府は近く、関係省庁が参画する推進会議を設置して基本計画づくりを本格化させる。その際にも、建設現場の声によく耳を傾けてもらいたい。

公明党は、関係者からのヒアリングを重ねるなど、基本法成立を強力に推進してきた。危険な現場に身を置く人たちが希望と誇りを持って働ける環境づくりこそ、公明党のめざすところである。

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