eコラム「北斗七星」

  • 2017.03.16
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月16日(木)付



財政破綻から10年。全国唯一の財政再生団体である北海道夕張市が、これまでの財政再生計画を抜本的に見直し、地域再生をめざす新たな道を歩み始めた◆炭鉱で栄え、最盛期には約12万人が暮らした同市。"ヤマの灯"が消えた後は、リゾート開発などで観光の街へと転身を図ったものの、バブルが崩壊。2007年、353億円の負債を抱え財政再建団体(当時の名称)となった◆借金返済が最優先の緊縮財政で、市職員や公共施設は大幅に削減。市税や水道料金は引き上げられ、市民にとっては「全国最低のサービス、最高の負担」となっているのが現状。その影響もあり、この10年間で人口は約3割減少して9000人を割り込み、65歳以上の高齢者がほぼ半数を占めるまでに◆新しい計画には、今後10年間で100億円を超える46の新規事業が盛り込まれた。「若者が住み続けられる街」をめざし、認定こども園の整備や第2子以降の保育料無料化など、子育て世代の支援に力を入れる。企業も含む「ふるさと納税」などで財源を生み出すほか、国もこの間、約12億円の特別交付税で後押しする◆財政再建と地域再生の両立ができれば、人口減少に直面しつつ地方創生をめざす全国の自治体の先駆的な事例ともなる。"課題"を"希望"に変える挑戦に期待したい。(武)

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