e刑法改正案 性犯罪許さぬ社会へ「親告罪」削除

  • 2017.03.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年3月13日(月)付



性犯罪の処罰のあり方を110年ぶりに変える刑法改正案が閣議決定された。

近年、性犯罪の被害者が勇気を持ってその"非道さ"を訴え続けてきた。その結果、性犯罪は悪質化し信頼関係で成り立つ学校や家庭にまで忍び込んでいる事実が明らかにされた。今や刑法の強制わいせつ罪や強姦罪などの規定だけでは適切な処罰が期待できない状況になっている。

改正案は、被害者の声を重く受け止め、性犯罪を厳罰化した。さらに、被害者が自ら告訴しない限り加害者を処罰できない親告罪の制度もなくした。告訴を決断する心理的負担が大きすぎるとの被害者の声に応えた改正だ。早期成立を期待したい。

被害者は「性的な『モノ』として扱われる恐怖」に襲われるという。人生を狂わされたことへの喪失感も深い。法改正と同時に、捜査にあっても被害者に寄り添う姿勢で臨む体制を拡充してほしい。

改正案は、強姦罪を「強制性交等罪」に改め、法定刑を懲役3年以上から懲役5年以上に引き上げる。

強姦罪では女性に対する性的暴行が処罰の対象だったが、「強制性交等罪」では男性も被害者に含まれる。表面に出ないが、男性が性犯罪の被害者となる事件が一定数起きており、その精神的被害も深刻であるとの事実が被害者によって示されていた。

さらに、子に対する親の暴行など家庭内での性犯罪に対しては「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」を新設する。親など生活を支える立場の人が、その影響力を使って18歳未満の子どもに性行為やわいせつな行為をした場合、暴行や脅迫がなくても処罰できるようになる。

親告罪は本来、被害者が裁判で傷つく可能性が高いため、裁判をするかどうかは検察ではなく、被害者の判断に任すことが妥当だとの理由で設けられた。しかし、告訴の判断ができず「泣き寝入り」になるケースが多いとの意見が強かった。また、国際社会からも性犯罪を親告罪にしないよう勧告されていた。

今回の刑法改正案は性犯罪抑止の第一歩である。国会審議を通して、被害者と一緒に性犯罪と戦う姿勢を示すことが重要である。

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