e学校のトイレ 和式で困るのは大人と同じ

  • 2017.03.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年3月7日(火)付



トイレに行きたいけれど、学校の便器は和式だから嫌だ。我慢しよう―。子どもたちの心の声が聞こえてきそうだ。

民間企業の調査によると、学校で大便をしない小学生は3割に上り、和式トイレが多い学校に通う子どもほど我慢する傾向が強い。

自宅の洋式トイレで育った世代が、学校の和式トイレに戸惑い、抵抗を覚えることは容易に理解できる。自宅に帰るまで耐えるつらさも想像に難くない。学業への影響はもちろん、便秘など健康面の心配も尽きない。洋式化が急がれる理由がここにある。

とはいえ現状は厳しい。公立小中学校のトイレの洋式化率は全国平均で43.3%にとどまる。最も進んでいる神奈川県でも58.4%だ。洋式化の流れを加速させる手だてはないだろうか。

自治体が公立小中学校のトイレを改修する場合、費用の3分の1を国が補助する制度がある。ただ、多くの自治体は学校施設の耐震改修を優先しているため、トイレの洋式化は後回しになっている。

この点、東京都の取り組みに注目したい。公立小中学校のトイレの洋式化率を、現在の55%から2020年度までに80%へ引き上げる目標を明示し、17年度予算案には、学校や公共施設のトイレの洋式化に38億円を計上した。前年度予算の5倍近い額だ。都議会公明党の訴えが反映されたものである。

直ちにトイレの改修を実施できる自治体は少ないだろうが、まずは東京都のように改修目標を検討してはどうか。

学校施設本体の耐震化は、ほぼ100%に達し、天井板など非構造部材の耐震化も進みつつある。学校トイレの洋式化に予算を振り向けられる自治体は今後増えるだろう。早期に改修目標を示すだけでも、子どもや保護者の不安解消に役立つのではないか。

学校のトイレは子どもたちだけの問題ではない。学校は地域コミュニティーの拠点であり、大規模災害時には避難所となるなど、老若男女を問わず多くの住民が利用する。

実際、東日本大震災や昨年の熊本地震では、避難者の多くが和式トイレに悩まされたとの声を上げていることを忘れてはならない。

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