e民泊 普及には自治体の役割が重要

  • 2017.03.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年3月4日(土)付



住宅の空き部屋を有料で旅行者に貸し出す「民泊」。その基本的なルールを定めた「住宅宿泊事業法案」を、政府は今国会に提出する予定だ。

わが国では、人を宿泊させて料金を取ることは、原則として旅館業法に基づく宿泊施設にしか認められていない。しかし、外国人観光客の急増に宿泊施設の増加が追いついていないのが現状だ。

宿泊者の受け皿をどう確保するか。この課題を解決する手だてとして、民泊が期待されるのは当然といえよう。公明党も法案を了承しており、今国会での成立を期したい。

法案で注目したいのは、民泊の運営を希望する家主や事業者に対し都道府県への届け出を義務付け、▽各部屋の床面積に応じた宿泊者数の制限▽外国語による施設説明▽地域住民からの苦情や問い合わせへの迅速な対応―などのルールを明記したことだ。

民泊は現在、規制が緩和される国家戦略特区に限り営業が認められている。しかし厚生労働省の調査では、許可を得たものは全国で2割に満たず、無許可営業が野放し状態であることが判明している。

中には、「狭い部屋に多くの外国人が泊まって騒いでいる」「ゴミ出しの方法を守らない」といった苦情が絶えないケースも少なくない。

それだけに、法律で届け出を義務付けるだけでなく、運営上の細かいルールまで示したことは、健全な民泊の普及を後押しすることになる。

自治体の役割が重要であることも指摘しておきたい。

法案では、都道府県または保健所のある市区町村で、地域の実情に合わせたルールを条例化できるとしている。ホテルや旅館が多い地域で民泊が与える影響や、閑静な住宅街における民泊のあり方など、検討すべき課題は地域によってさまざまであろう。

この点で、地域にネットワークを張り巡らしている公明党の地方議員の活躍が重要になる。関係者の合意形成に取り組みながら、条例づくりをリードしてほしい。

民泊によって、私たちの普段の暮らしに近い環境を体験することは、外国人が日本への理解を深める好機にもなろう。諸外国では既に普及している民泊についての論議を、国会審議を通じて深めたい。

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