e液体ミルク

  • 2017.02.27
  • 生活/生活情報

公明新聞:2017年2月25日(土)付



育児の強い味方 日本でも普及を



夜中、おなかがすいて泣き出した赤ちゃんのため、哺乳瓶などの容器を殺菌して粉ミルクをお湯で溶かし、適温に冷まして授乳する―。こうした手間から解放される日がやって来そうだ。

国内で製造や販売が認められていない「乳児用液体ミルク」について、内閣府の専門調査会が、製品化に向けた取り組みを求める報告書を大筋で取りまとめた。

液体ミルクとは、成分が粉ミルクと同じで、紙パックやペットボトルに無菌状態で密閉されており、常温保存が可能な人工乳。開封して付属の吸い口を着けるだけで飲ませることができ、粉ミルクと比べて格段に手間が省ける。

夜間や外出時の授乳が手軽になるだけでなく、水や燃料が確保できない災害時に使用できることも大きな利点とされる。実際、東日本大震災や熊本地震では、普及しているフィンランドから被災地に液体ミルクが届けられ、お母さんたちに喜ばれた。

助かるのは母親だけではない。液体ミルクを使えば、父親の育児参加も容易になり、孫の面倒を見る祖父母の負担も軽くなるであろう。普及によるメリットは大きく、母乳も含めた授乳方法の一つとして公明党も推進している。

液体ミルクの日本での製造・販売が認められてこなかったのは、食品衛生法に基づく安全基準がなかったことが大きな理由とされる。

このため内閣府の専門調査会では、安全基準の設定に必要な厚生労働省令の改正に向け、国や乳業メーカーなどの連携加速を求めている。その取り組みを注視したい。

液体ミルクの普及には、価格面の課題もクリアする必要がある。

欧米で販売されている液体ミルクの値段は、日本の粉ミルクと比べて2倍以上もする。国内で製造・販売した場合の価格についての試算は示されていないが、高価格が売れ行きに影響するようなら乳業メーカーも二の足を踏んでしまうであろう。

この点、東京都が災害備蓄品として液体ミルクを大量購入する方向で検討を進めていることに注目したい。確実な需要があることを自治体レベルで示せば、メーカーも取り組みやすくなるに違いない。

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