e精神障がい者支援 社会とのつながりあってこそ

  • 2017.02.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年2月24日(金)付



昨年7月、相模原市で19人が犠牲になった障がい者施設での入所者殺傷事件。その再発防止策の一環となる精神保健福祉法改正案が今国会に提出される予定だ。

改正の柱は、自傷や他人に危害を加える恐れがあるとして措置入院した患者への支援の強化である。相模原での事件の容疑者が退院後に医療機関や自治体から十分な支援を受けられず、孤立する中で犯行に及んだことを踏まえた内容であり、公明党は政府の改正案を了承した。

同改正案では、措置入院を決めた都道府県や政令市が、医療機関などを交えた協議会を設置し、入院中の全ての患者に退院後の支援計画を作成する。これに基づき、患者の住む地域の保健所が相談・指導を行うことにしている。

とりわけ注目したいのは、患者が転居した場合も移転先の都道府県などに計画内容を引き継ぐことを義務付け、支援が途切れないようにした点だ。これまで個人情報保護の面から、とかく患者情報の伝達に及び腰な自治体が少なくなかった。今回、踏み込んだ方針を打ち出したことで、自治体間の連携強化が期待できよう。

ただ、強調しておきたいことは、今回の法改正の最大の目的は、精神障がい者の社会復帰を支援することであり、共生社会を実現することにあるということだ。

「働きたい」「自立したい」「社会に貢献したい」という、自らのハンディと闘いながら将来に希望を見いだそうとする人を見守り、どのように支えるか。

まして、相模原市で起きた事件のような特異なケースをもとに、障がい者に対する偏見を助長するようなことがあってはならない。

公明党は事件後、党内に再発防止に向けたプロジェクトチームを設置。障がい者やその家族、支援団体などから聞き取りを行い、提言に取りまとめて政府に提出していた。今回の改正案は、その内容に沿ったものだ。

2015年度に措置入院となった対象者は7106人に上り、年々、増加傾向にある。

改正案の国会審議を通じ、精神障がい者支援のあり方について広く国民が理解を深めることを期待したい。

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