eコラム「北斗七星」

  • 2017.02.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月11日(土)付



20世紀のゴルフ史に大きな足跡を残したジャック・ニクラウス。無敵の強さから「帝王」とも呼ばれた、その彼が松山英樹について語った言葉がある◆「ヒデキは距離のあるコースをプレーできる。テンポが良くて冷静で、池に入れた時も動じなかった。これから長い間、活躍するだろう」。2014年、米ツアーに本格参戦し、メモリアル・トーナメントで初優勝した際に評したものだ。見立ては的中しつつある◆米アリゾナ州で行われたフェニックス・オープン。松山は首位と4打差を追い付き、プレーオフの末、大会連覇。日本人最多の米ツアー通算4勝とした松山は、「日本で一番の選手かと言われると、僕はまだそうは思わない」と。求道者を思わせる弁に唸った人も多かったろう◆モットーは「才能は有限。努力は無限」。華々しく活躍していた同世代には目もくれず練習を重ねた。体のバランスを保つため、利き手ではない、左手で食事してきたことは有名だ。スイングを確かめようと、ロサンゼルス在住の丸山茂樹を訪ねたこともあったと聞く◆そういえば、ニクラウスが尊敬していたゴルフの球聖、ボビー・ジョーンズの教訓に「結局、人は、その人の器でしかプレー出来ない」(夏坂健著『ゴルフの達人』日経ビジネス人文庫)とあった。ゴルフを通じ人物を知る。論評だけでは何も生まれまい。(田)

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