eコラム「北斗七星」

  • 2017.02.03
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月3日(金)付



「またか」と、暗たんたる気持ちになった。東京電力福島第1原発事故で福島県から首都圏に自主避難している子どもがいじめに遭っていたとの報道が続いている。同級生から「放射能が来た」などと言われたという◆さまざまな事情を抱えながら転居してきた子どもたち。本来なら温かく受け入れられるべきところ、福島から来たということだけで差別的な扱いを受ける。心ない言葉の背景に、子どもたちの身近な環境が影響していることは否めない◆先週、首相の施政方針演説に対する代表質問で、公明党の山口那津男代表は重要課題の一つとしていじめ問題を取り上げた。昨年、認知件数が過去最多だったことを踏まえ、「いじめは絶対に許さない、との気風を社会全体で確立していくことが根絶につながる」と、社会を挙げた取り組みが必要と指摘した◆1980年代半ばに、いじめが社会問題化して30年余り。その後も表面化する度に対策が示されるが前に進まない。以前と比べ、ネット社会がその存在を見えにくくもさせている。昔からいじめはあったなどと、高をくくっては解決は程遠い◆海の向こうでは、社会の分断を象徴する政治指導者の言動が世界を揺るがしている。新たな憎悪を生み、負のエネルギーの暴発につながらないか。心配は尽きない。(広)

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