e2017年春闘 賃上げで個人消費に力強さを

  • 2017.02.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年2月2日(木)付



3年間続く賃上げの流れを継続させることが重要である。

労使の方針が出そろい、2017年の春闘が本格化している。労使とも賃上げに前向きであることを、まず評価したい。

経営側が賞与も含む年収全体での賃上げを主張する一方、労働組合側は従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)実施を要求するなど、双方に隔たりはあるが、今後の交渉を通じ、4年連続の賃上げをぜひとも実現してほしい。

企業業績や雇用環境は、自公政権の経済政策によって着実に改善している。問題は、国内総生産の6割を占める個人消費に今一つ勢いがなく、これが景気の本格的な回復の足かせとなっていることだ。個人消費を活性化させるには、賃上げによる所得増を欠かすことはできない。

既に企業業績は過去最高水準に達している。この好業績を賃上げにつなげ、個人消費を喚起する経済の好循環を加速させることができれば、正念場を迎えたデフレ脱却への大きな追い風にもなろう。

気掛かりなのは、英国の欧州連合(EU)離脱や米新政権の誕生により世界経済の先行き不安が高まっていることだ。とりわけ、貿易問題などで時に日本を名指しで批判するトランプ米大統領の言動によって、経営者側の心理が賃上げに後ろ向きになるのではとの懸念がある。

この点については、外交交渉での政府の特段の努力が求められる。

賃上げは日本経済の再生のために不可欠であり、中小企業の賃上げも重要だ。

経済産業省の調査によると昨年は、中小企業の33%が賃上げできなかった。その理由は「業績回復・向上が不十分」(約88%)が最も多かった。

このため、今国会で審議中の17年度予算案には、賃上げを行う中小企業への支援策も盛り込まれている。賃上げは労使間のみでなく国民的な関心事であることを強調しておきたい。

賃上げだけでなく、長時間労働の是正など「働き方改革」も今年の春闘の大きな焦点である。労使ともに積極姿勢を示しており、この点でも実りある議論が求められる。

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