e若いがん患者を支える

  • 2017.02.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月2日(木)付



思春期・若年成人(AYA)世代 公明推進で新事業
個々の将来見据え
専門職が長期的にサポート



重い病と向き合いながら多感な青春時代を過ごし、進学や就職、結婚、出産といった人生の転機を迎えるAYA世代のがん患者を支える体制づくりに、政府が乗り出す。公明党が推進し、2017年度予算案に厚生労働省による小児・AYA世代のがんの長期フォローアップ体制整備事業が新規で計上された。

新事業は、医師や看護師のほか、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、子どもの入院生活を心理社会的に支援するチャイルド・ライフ・スペシャリストなどに研修を行い、「他職種協働チーム」を育成。医療面だけでなく多面的な相談・支援を通じて、AYA世代が直面する就学・就労などをサポートし、自立に向けたトータルケアの実施をめざす。厚労省がん・疾病対策課は「小児から成人にわたって長期に、継続的に支援していく体制をつくりたい」と話す。

同省によると、全国に15ある小児がん拠点病院のほか、各地域で小児がん医療の中心的な役割を果たしている約90の医療機関で研修を実施していく方針だ。

AYA世代のがん患者は全国に約2万人。小児がんでは発症時の治療による合併症が成長に伴い何年もたってから現れることがあるなど、個々の状況はさまざま。将来への不安を抱えながら独りで悩んでいる人も少なくない。医療面での長期的なフォローアップが必要とされる中で、本人の状況や将来への希望を踏まえた支援体制をどう構築するかが課題となっている。

AYA世代の実態調査を行う厚労省研究班も、「同じ年齢であっても自立の度合い、就学・就労・経済的状況、家庭環境により、ライフプランにはかなり個人差があるため、個別のニーズにきめ細かに対応できるか」という視点に立った施策の実施を求めている。

公明党は、15年8月、政府の「がん対策加速化プラン」策定に向けた提言の中で小児・AYA世代への支援充実を主張した。既に治療施設の整備や実態調査の実施が進み、長期的な支援策として今回の新事業が加わることになる。


【AYA世代】
Adolescent and Young Adult(思春期と若年成人)。15~20歳代、30歳代を指す

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