eメンター養成へ研修会

  • 2017.02.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月2日(木)付



発達障がいのある子の子育て
経験した親が支援
茨城・取手市



発達障がいのある子どもの子育てに悩む親を支援するために、茨城県取手市はこのほど、同じ経験をした親が相談役になるペアレントメンター養成研修を開催した。2日間の研修では、専門家の講演や演習を通して相談支援の基本などを学んだ。


相談者に寄り添う力 身に付ける

養成研修の初日は、特定非営利活動法人「日本ペアレント・メンター研究会」の原口英之理事が相談支援の基礎知識と技術について講演。臨床心理士の資格を持つ原口理事は、「同じ悩みに直面した経験を生かすためにも、相談者に寄り添って共感できる力を養わないといけない」と述べ、相手の思いを尊重して自分の考えを押し付けてはならないことを強調した。

さらに、「子育てで頑張っている点を褒めて元気づけることで、相談者が『頑張ってみよう』と思えることが大事だ」と語った。

続いて、研修参加者は3人1組のグループごとに仮想の相談事例をもとに演習を実施。メンター役、相談者役などになって、原口理事の講演で学んだ内容を意識しながら相手の相談に耳を傾けていた。

2日目の研修では、親自身の健康を維持するためのストレスマネジメントなどを学ぶ講習が行われ、研修会終了後、参加者に修了証が手渡された。自閉症の子どもがいる海山貴子さんは「自身の経験や研修で学んだ内容を生かして、仲間である他の親御さんに寄り添っていきたい」と決意していた。


公明が推進

ペアレントメンターを養成する取り組みについては、市議会公明党の阿部洋子議員が2010年3月定例会で提案して以降、一貫して推進していた。

こうした提案などがきっかけとなり、取手市は13年に、一般社団法人「日本自閉症協会」が主催するペアレントメンター事業についての行政説明会やインストラクター養成研修会に市職員を派遣。メンターを務める保護者の負担が大きいことから、専門家と連携しながら養成研修の実施に向けて慎重に準備を進めてきた。

市は来年度も取り組む予定で、市障害福祉課の吉本茜さんは、「障がいのある子を持つ保護者が子育てしやすい街をつくるためにも、メンターが安心して活動できる環境をこれから整えていきたい」と話していた。


ペアレントメンター
発達障がいのある子どもの子育てを経験し、相談支援に関する一定の研修を受けた保護者のことで、メンターは「信頼できる相談相手」を意味する。資格ではないが、厚生労働省が有効な家族支援策として養成を推進。近年は、他の障がいのある子どもの親同士の支援策として注目されている。

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