eコラム「北斗七星」

  • 2017.02.01
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月1日(水)付



「雪に耐えて梅花麗し」。昨年、広島東洋カープを25年ぶりのリーグ優勝に導き、引退した黒田博樹さんは、西郷隆盛の漢詩を座右の銘としてきた。「苦しまずして栄光なし」と◆日米通算203勝の名投手も、高校時代は補欠。プロ生活は2軍戦の「1回10失点」から始まる。3年目までは結果が出なかったが、カープのエースとなり、2008年、メジャーリーグに移籍。ドジャース、ヤンキースで活躍し、高い評価を得る。「日米通算3340回登板」は特筆すべき記録である◆メジャーでの成功は、環境の変化に適応して、自分のスタイルやこだわりを捨てられる柔軟な心にあった。速球派から"動くボール"を駆使する技巧派へ、"ミスター完投"から、「6回を3失点以内に抑え、1年間、中4日のローテーションを崩さない投手」へと変貌を遂げる◆一方、マウンドに立つ姿勢は一貫してぶれなかった。「この試合で選手生命が終わってもかまわない」「自分の選んだ道が、正解かは分からないが、正解となるように努力する」(著書『決めて断つ』)。その「気持ち」に、どれほど、チームメートは奮い立ち、ファンは感動を覚えただろう◆きょう、プロ野球はキャンプインする。3月31日の開幕が楽しみだ。厳寒の中、梅の花が清らかに咲いている。春が待ち遠しい。(中)

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