e開発進む新型ホームドア

  • 2017.01.25
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2017年1月25日(水)付



国交省 転落事故の防止対策急ぐ
乗降客数10万人以上の駅に



視覚障がい者が駅ホームで転落し死亡する痛ましい事故が後を絶たない。今月14日、埼玉県蕨市のJR蕨駅で盲導犬を連れてホームを歩いていた男性が線路に転落し、死亡する事故が発生した。昨年8月には、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、同10月には近鉄大阪線河内国分駅で同様の事故が起きている。いずれの駅も転落を防ぐホームドアはなく、再発防止策が急がれている。

昨年8月、青山一丁目駅での転落事故を受け、国土交通省は、ハードとソフトの両面から総合的な安全策を検討する「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を設置。視覚障がい者団体などのヒアリングとともに、6回の会議を重ね、昨年12月に中間とりまとめを発表した。

2020年度までに1日の乗降客数10万人以上の整備可能な駅にホームドアを原則設置することをはじめ、内方線付き点状ブロックの整備を促したり、視覚障がい者への声掛けの啓発や駅員による誘導案内を強化する点などの安全対策が主な内容だった。

特に、ホームドアの導入は、旅客のホームからの転落や列車との接触を防ぐのに有効とされる。しかし、1駅に付き数億円から十数億円かかる高コストであることに加え、ホームがドアを設置できない構造だったり、車両のタイプによってドアの位置が異なるなど施工上、技術上の課題が多く、普及は遅れている。

こうした課題の解決に向け、国交省は、新型ホームドアの開発と普及を加速させるために、鉄道事業者らで構成する「新型ホームドアに関する技術WG(ワーキンググループ)」の初会合を今月13日に開催。コストや技術上の課題について意見交換を行い、JR西日本で実用化されているロープ式の事例などが紹介された。

駅員の声掛けや見守りの徹底とともに、低コストで設置しやすい新型ホームドアの開発・普及が再発防止対策のカギを握る。今月14日に痛ましい事故が発生したJR蕨駅もホームドア設置の目安となる乗降客数10万人以上の駅だ。公明党の佐藤英道国交部会長(衆院議員)は、「技術の向上や低コスト化は、命を守るホームドアの普及を加速させる。今後も、駅ホームの安全・安心に向けた取り組みを後押ししていく」と語っている。

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