e長時間労働 是正に向け労使が真剣に協議を

  • 2017.01.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年1月24日(火)付



大手広告代理店、電通の女性新入社員が月100時間を大きく上回る残業を強いられ、過労自殺した問題が突き付けた長時間労働の是正を急がなければならない。

経団連は今月、2017年春闘の経営側の交渉指針「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)で、「過労死は絶対に起きてはならない」とし、「長時間労働を前提とした慣行の変革は待ったなし」であると訴えた。連合も昨年発表した春闘の方針となる「連合白書」で、「長時間労働の撲滅」を掲げている。

経営者側は、必要に応じて、労働者に残業を命じられるようにしておきたいであろう。一方で、労働者側も残業による割り増し賃金が得られることを良しとしてきたのではなかろうか。こうした労使の思惑が、長時間労働の慣行を形成してきたという側面は否定できない。それだけに、労使がともに長時間労働の是正に向け、本気の姿勢を示していることを評価したい。

実際、過重労働が常態化している企業は多い。厚生労働省は昨年4月から9月まで、長時間労働が疑われる全国約1万の事業所を立ち入り調査し、違法な時間外労働を確認したため是正指導を行ったのは、4割を超える4416の事業所に上る。このうち8割近くで、労災と認定できる「過労死ライン」の月80時間を超える残業があったという。

経労委報告では、基本給を変えずに労働時間を短縮する「時短労働」が賃上げにつながるとの見方を示していることにも注目したい。長時間労働は、労働者の心身の健康を損ない、その結果、企業全体の生産性の低下を招く。生産性が落ちれば、企業は収益を上げられず、賃上げも望めないからだ。

事実、労働政策研究・研修機構によると、「時短労働大国」といわれるドイツは、労働者1人当たりの年間平均労働時間が経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も短いにもかかわらず、生産性は日本を大きく上回る。

企業の業績低下が長時間労働を必要とする理由にはならない。政府は、長時間労働の是正に向けた実行計画を今年度中にも策定する予定だ。春闘で労使も真剣に協議を重ねてもらいたい。

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