e教育への投資 子どもの未来開き社会の財産に

  • 2017.01.23
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年1月21日(土)付



家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもたちが安心して学べる環境づくりを一段と加速させていきたい。

東京都は、実質無償となっている都立高校授業料との公私立間格差を是正するため、2017年度から私立高校の授業料を実質無償化することを決めた。世帯年収で760万円未満を目安に都の助成金を増額し、国の就学支援金と合わせて都内の私立高校の平均授業料分を補助する。

都議会公明党が提案していた年収910万円未満には届かなかったものの、大きな前進と評価したい。

さらに、私立高校向けの入学支度金の貸付額は都議会公明党の主張通り、現在の20万円から、都内の平均入学金と同じ25万円に引き上げる。

東京都は都立高校の志望倍率が1.4倍程度(普通科)で、他の道府県に比べ私立高校に通う生徒の割合が高く、保護者が高収入でなくても私立高校に通わせている家庭も少なくない。経済的な理由で高校進学を断念するケースもあろう。今回の拡充は教育費負担に悩む多くの家庭にとって希望となるに違いない。

私立高校授業料の実質無償化は大阪府や埼玉県などで導入されているが、東京都での実施を弾みに、さらに全国へと広がってほしい。

学生への支援強化も忘れてはならない。

公明党の念願が実り、17年度から返済不要の給付型奨学金が創設される。対象者は限定されるが、"小さく生んで大きく育てる"発想で、着実に拡充していきたい。

教育に対する経済的な支援が、なぜ重要なのか。家庭の経済状況が教育格差を次世代にまで引き継ぐ貧困の連鎖を断ち、未来への投資につながるからだ。

国立教育政策研究所の試算によれば、奨学金など大学・大学院在学期間中の公的投資額は一人当たり約250万円だが、卒業者が納める所得税など公財政への貢献は約600万円に上る。投資効果は約2.4倍だ。本人の所得増だけでなく、将来の国の財政を支える結果にもなる。

20日に開幕した通常国会では、未来への投資を前進させる17年度予算案の審議が前半最大の焦点だ。国民本位の論戦で早期成立を期したい。

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