eコラム「北斗七星」

  • 2017.01.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年1月18日(水)付



上品なディナー・パーティーに現われ、なりふり構わず叫ぶ泥酔客。居並ぶ人々の多くは、困ったような表情を浮かべつつも、内心ではこの客の指摘に密かにうなずいているのではないか。千葉大学の水島治郎教授は、近著「ポピュリズムとは何か」(中央公論新社)で、ポピュリズム(大衆迎合主義)をデモクラシーというパーティーに顔を出した厄介な客になぞらえ、例説している◆昨年は、英米の両国で、不安や怒りが政治を突き動かした。ポピュリズム側の弁護席に座るつもりは毛頭ないが、社会に対して疎外感を持つ人々の異議申し立てと受け止めたい◆民主主義は、出来上がった仕組みによってではなく、その理念や価値観を理解し、大切にする人々によって守られ、機能するという。それならば、穏健で民主的な価値観の担い手になってきた、かつての中間層が希望を持てる社会を取り戻さねばならない◆泥酔客を門の外へ締め出したとしても、今度はむりやり窓を割って入ってくれば、パーティーは台無しになるだろう。水島教授の警告である。日本も対岸の火事ではあるまい◆政治に何が求められているのか。どう解決すべきか。各党が20日召集の通常国会で議論を掘り下げてほしい。パーティーの成否は、パーティー(政党)の踏ん張りにかかっている。(明)

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