e地域での学習支援  "貧困の連鎖" 断ち切りたい

  • 2017.01.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年1月14日(土)付



「勉強するのが楽しくなり、念願の進学もかなった」―。そんな喜びの声を広げていくため、地域での学習支援の場を整備していきたい。

経済的な事情で学習塾に通えない、自宅で勉強する習慣が身に付かないといった子どもたちのために、地域のボランティアが原則無償で勉強を教える取り組みが前進する。

これは、2015年度から始まった国の「地域未来塾」事業のことで、17年度予算案には、全国に約2600ある未来塾を約3700カ所まで増やすことが盛り込まれた。

経済的な理由による教育格差は、次世代に貧困を引き継ぐ大きな要因の一つである。実際、生活保護世帯の高校進学率は一般世帯より低い。こうした"貧困の連鎖"をどう断ち切るのか。わが国が抱える課題の解決に未来塾が果たす役割は大きいと言えよう。

事業は、子どもの貧困対策推進法(13年6月成立)を受けたもの。対象は中学・高校生。大学生や元教師、NPO団体などが学校の空き教室などを活用して、放課後に勉強を教える。子どもたちに学習習慣を身に付けさせるのが狙いで、高校・大学などへの進学率の向上や、高校中退の防止なども期待されている。

国に先立って、こうした学習支援を独自に行う自治体はあるが、未来塾の全国展開は、国を挙げて学習支援に取り組む姿勢を明確にしたものだ。運営は都道府県や市区町村が担うだけに、公明党の地方議員には、未来塾が地域に定着し、成果を挙げられるよう力強く後押ししてほしい。

普及に向けては課題もある。一例としてボランティア人材の確保が挙げられる。人口の少ない地域では深刻だ。

解決策の一つとして、情報通信技術(ICT)の活用が考えられる。例えば、高知県の村立中学校内で実施されている未来塾では、タブレット端末やプロジェクターを積極的に導入。生徒の学習意欲が高まったほか、板書の手間が省けるなど指導者の負担軽減にも効果が現れている。こうした事例を広く紹介していく試みも重要となろう。

奨学金の拡充などと合わせて、「子どもの未来が、生まれ育った環境に左右されることのない社会」をめざしていきたい。

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