e重度になったのに減額!?

  • 2016.12.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年12月27日(火)付



障害年金
理不尽な「差引認定」見直し
山本さんの質問受け 厚労省が検討着手



障害年金の認定をめぐり、以前よりも障がいが重くなったのに受給額が減るケースがあるとの指摘を受け、厚生労働省は認定方法を見直す作業に着手した。

公明党の山本香苗さんが、地方議員を通じて寄せられた実情を12月8日の参院厚労委員会で取り上げたのがきっかけ。厚労省は「専門家に意見を聞くなどして適切に対応したい」と答弁していた。

問題となるのは、身体の同じ部位に別々の原因で障がいが混在するケース。現行制度では、最終的な状態から前の障がいを差し引き、後の障がいを判断する「差引認定」を行い、前後の障がいの程度(等級)を合わせるか、高い方の等級に合わせて受給額を決める仕組みとなっている。

しかし、参院厚労委の質問で山本さんは、両足の障がいで障害等級2級だった男性が交通事故に遭い、両下肢完全まひになったケースを例示。「この場合は1級相当の障がいになるけれども、差引認定の適用によって、障害(等級)3級になって年金が減るという極めて理不尽な事態が起きている」と指摘し、差引認定の見直しを迫った。

答弁で厚労省は、差引認定は年平均11件程度とし、これまで差引認定後に社会保険審査会で等級が変更された例や、差引認定をすべきではない事例に誤って適用した例があったことも明らかにした。

厚労省年金局の給付事業室は、差引認定について、「前の障がいの等級は変わらないので、本来、差引認定によって年金額は下がらない」と説明。その上で、男性の年金額が下がったのは、「差引認定後の更新時に本来の手続きとは異なる取り扱いをしたためだ」とし、「そもそも差引認定を適用すべき事案ではなかった」との認識を示した。

今後の見直しについては、「差引認定の結果が前後の障がいを合わせた障がいの状態に見合わないケースもあると指摘されている。改善に向け、専門家の意見も聞きながら適切に対応したい」とした。

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