eストーカー規制法を改正

  • 2016.12.22
  • 情勢/解説
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公明新聞:2016年12月22日(木)付



被害者の視点を強く反映
SNS追加など 公明案まとめ合意形成
党プロジェクトチーム 大口善徳座長に聞く



ストーカー対策を強化するため、インターネット交流サイト(SNS)上での嫌がらせを新たに規制対象とすることなどを盛り込んだ改正ストーカー規制法が、先の臨時国会で成立した。同法のポイントや公明党の取り組みについて、党ストーカー規制法等改正検討プロジェクトチーム(PT)の大口善徳座長(国会対策委員長)に聞いた。


―法改正の背景は。


大口善徳座長 ストーカー規制法は、2000年に議員立法で成立し、13年6月には電子メールの連続送信を規制対象に加える改正を行いました。改正時の付則には、ストーカー行為の多様化などに対応するため、規制のあり方を全般的に見直し、必要な措置を速やかに行うと規定しました。

その後、13年10月に東京都三鷹市の殺人事件、今年5月には同小金井市で刺傷事件が発生するなど、凶悪化に歯止めがかからない事態が続きました。近年のストーカー事案の認知件数は高い水準で推移し、14年には2万2823件と過去最高に達しており、早急な対応が求められていました。


―改正のポイントは。


大口 まずは、ツイッターやLINE(ライン)などのSNS上での嫌がらせを、「つきまとい」行為の規制対象に追加しました。SNSによる被害が増加の一途をたどり、電子通信機器の使用によるつきまといを幅広く規制する必要があったためです。被害者宅付近での見張りや待ち伏せに加えて、みだりにうろつく行為も禁止しました。

また、緊急時に迅速な対応を可能とするため、加害者への警告がなくても禁止命令を出せるようにし、事前に必要となる聴聞を事後的に意見聴取できるようにしました。ストーカー行為をする恐れがある相手と知りながら被害者の情報を提供することも禁止し、事件の発生を未然に防ぎます。

一方、ストーカー行為罪について、被害者が告訴の意思を固めていない段階でも起訴できる非親告罪にしました。被害者の意思で処罰の引き金を引くことは心理的な負担も多く、加害者からの逆恨みなども懸念されるためです。ストーカー行為罪の罰則も「懲役6月または罰金50万円」から「懲役1年または罰金100万円」へ強化しました。
このほか、被害者の保護対策の充実や、再犯率が高いとされる加害者の再犯防止策を見据え、更生に向けた調査・研究の推進も盛り込みました。


警察の迅速な対応を可能にし凶悪化防ぐ


―改正に向けた公明党の取り組みは。


大口 公明党は規制法の成立を推進し、13年の法改正時も与野党の議論をリードするなど、一貫してストーカー対策の強化を進めてきました。今回も、被害者側の意見を尊重する基本的な考え方に立ち、警察が事態の状況に応じた適切かつ迅速な対応を取れることを重視し、法改正をめざしました。

13年改正時の付則に基づく警察庁の有識者検討会には、公明党の主張で被害者遺族や支援団体の代表が参加。現場の視点を反映した報告書が14年8月に公表されました。この報告書を踏まえ、公明党が14年10月に取りまとめた独自案を基に、与党ワーキングチームで改正案を作成しました。

その後、公明党が各野党に理解を得るべく働き掛け、11月17日の参院内閣委員会では、全会一致が前提となる委員長提案の形で国会提出が決まり、臨時国会での成立を導きました。

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