eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月22日(木)付



三角形の内角の和はなぜ180度になるのか。数学の先生が尋ねる。模範解答が幾つか出た後に、おもむろに一人の生徒が答えた。「三角形を上からつぶして平べったくしていくと、最後は直線になるから」。中学生のときの授業で、なるほどとうなずいた記憶が今も残る◆経済協力開発機構(OECD)が今月、国際学力調査(72カ国・地域、対象は15歳)の結果を発表した。義務教育で得た知識の応用力を測るテストで、日本は数学と科学の分野でそれぞれ5位、2位と順位を上げた◆気になるのは、これまでの調査も含めて、数学や科学を「楽しい」と思う生徒の割合が国際平均を下回っていることだ。読解力を加えた3分野の学力で1位となったシンガポールでは、勉強を「楽しい」と感じる生徒の割合も高い◆同国教育省の政策企画官などを歴任したシム チュン・キャット昭和女子大准教授によると、好成績の理由の一つに教員の意欲の高さがある(本紙20日付)。参考にすべき点としては、授業の質を高め、少人数学級と多忙な教員の負担軽減を進めることを強調していた◆シンガポールでは、担任教師の事務作業を代行する専門の教職員がいる。日本でも教師を支える環境を整え、日々の授業が、さらに生徒の興味を促し学力アップにつながっていく努力が欠かせない。(辰)

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