eIR(カジノ含む統合型リゾート)推進法

  • 2016.12.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年12月16日(金)付



観光・地域振興を目的に
ギャンブル依存症へ懸念も



IR法の付帯決議(主な項目)


●刑法(賭博罪)との整合性を十分に検討
●IR区域の数は厳格に少数に限り、認定数の上限を法定化
●カジノに厳格な入場規制を導入
●ギャンブルなどの依存症患者への対策を抜本的に強化
●独立した強い権限を持つ三条委員会としてカジノ管理委員会を設置
●納付金は社会福祉、文化芸術振興、依存症対策に充てることを検討
●IR実施法案の検討に当たり十分な国民的議論を尽くす


Q カジノ解禁に道を開くIR法が成立したと聞きました。どんな内容ですか、公明党の対応は?(横浜市 T・S)


IR法は統合型リゾート(IR=Integrated Resort)整備推進法のことです。IRとは、大型ホテルや商業施設、会議場などが一体となった施設を指し、その一部にカジノも含まれています。

15日成立のIR法は、2015年に自民党や維新の党(当時)が議員立法で提出し、IR整備へ向け基本的な方向性を示しただけのものです。このため、成立したからといって直ちにカジノが解禁されるわけではありません。

政府は、IR法施行後1年以内をめどにカジノの規制やギャンブル依存症対策などを盛り込んだ「実施法」を整備しますので、カジノ開業といってもかなり先の話です。


実施法案を政府が作成 公明、対策に万全期す

IR整備の理由として、高い経済効果が挙げられています。大型複合施設の整備による設備投資で新たな雇用が生まれ、多くの訪日外国人観光客を呼び込むことで地域経済の活性化を期待したいとの考えです。国内3カ所にIRを整備した場合の経済効果は運営のみで2.1兆円(大和総研)との試算もあります。

一方、そうした経済効果を疑問視する見方もあります。理由として「海外のカジノが減収傾向にあり、アジアのカジノ市場は飽和状態」「米国では激しい競争によるカジノの閉鎖で地域が廃れた事例もある」と指摘されています。

さらに、IR法に反対や慎重な意見が根強い理由は、刑法の賭博罪に当たるカジノを合法化すれば、ギャンブル依存症の人が増え、地域の治安悪化や青少年への悪影響も懸念されているからです。


公明は意見集約に至らず党議拘束せず

メリットもデメリットもあるIR法に対して、公明党は法案への対応について党内論議を重ねましたが、容認・慎重の意見集約に至りませんでした。また「議員一人一人が個々の地域事情なども踏まえ、自らの考えに基づいて判断しても良いのではないか」との意見もあり、採決では党議拘束をしないことを決めました。

ただ、衆院・参院の内閣委員会での採決時に採択された付帯決議には、公明党議員の衆参の同委員会における主張によって、ギャンブル依存症対策の抜本的な強化や「実施法」の検討に当たっては国民的な議論を尽くすことなどが盛り込まれました。

今後、政府が策定する「実施法」はIR推進への懸念を払しょくする内容が求められます。公明党は実施法立案に当たって、カジノが違法ではないとする法的措置がなされているか。また、十分な依存症対策が講じられているかなどをしっかりチェックし、与党としての責任を果たしていきます。

さらに、ギャンブルやアルコール、薬物などへの依存症の治療拠点を全国各地につくるための予算を確保し、抜本対策に取り組みます。そのための検討チームを党内に設置し、実態調査や治療拠点の整備などを進めるほか、政府に提言もしていく方針です。

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