eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.16
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月16日(金)付



「不世出の巨匠」。1919年5月の『建築雑誌』に寄せられた辰野金吾への哀悼の一文だ。辰野は大阪市北区中之島にある中央公会堂の実施設計を、片岡安と共に手掛けた建築家である◆赤レンガの壁に青銅のドーム型屋根。19世紀前期、欧州で復興したルネサンス時代の建築様式を取り入れた中央公会堂は国の重要文化財。『何でもランキング/訪ねてみたい赤レンガ建築』(日経)では、西日本で1位だ。オープンしたのは辰野が亡くなる前年の11月17日。2018年に100周年を迎える◆巡り合わせか。公明党は幾度となくこの公会堂の大集会室を借り、反転攻勢へのろしを上げてきた。「負けたらアカン」を魂に刻んだ地である。先日も大阪府本部が党員の研修会を開催。次の勝利へスタートを切ったばかりだが、実は公会堂には多くの逸話がある◆建設費は大阪の株式仲買商・岩本栄之助の寄付。渡米した折、富豪の多くが公共事業に寄付していることに感銘したからだった。世界で初めて有人宇宙飛行に成功したソ連(現・ロシア)のガガーリンや、ゴルバチョフ氏が訪れ講演した歴史も◆ちなみに、辰野は現存する東京駅の駅舎も設計。片岡は晩年、大阪商工会議所の会頭となった。民の力が結集した公会堂。「民は神の主なり」(春秋左氏伝)だ。過たず政治の舵取りを、と望みたい。(田)

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