eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月8日(木)付



今回も地域間の違いが出た。憲法改正をめぐるイタリアの国民投票は、経済的に豊かな北部は賛成票が、貧しい南部で反対する有権者が多かった◆欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票、トランプ氏が勝利した米大統領選と似た現象である。共通項は、グローバル経済の恩恵に浴さない「レフト・ビハインド」(置いていかれた)といわれる人々の投票行動だ。彼らの多くは減収や雇用の喪失に苦しみ、居住地にかつての活力がない。主因は、自由貿易の激化や移民ではないか。そう受け止めている◆フランスの思想家ツヴェタン・トドロフ氏は「今日、民主主義の危機は外部(ファシズムや共産主義)からやって来るのではない。民主主義みずからが内なる敵を生み出し、自身の存立を脅かす」(「民主主義の内なる敵」 みすず書房)と警告する。その要素の一つとして、新自由主義を名指しした◆日本も対岸の火事ではない。格差解消に向け、社会保障や税制の所得再分配機能を高めなければならない。旧来型の産業の労働者には、職能を磨く機会の拡充が効果的だ。地方創生にも一段と力を注ぐべきである◆最も重要なのは、必要な政策が十分に行き渡るかだ。置いていかれる人はいないか、一人一人の悩みに耳を澄まし、地域社会に目を凝らす。公明党議員の出番だ。(明)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ