e首相、真珠湾訪問へ 和解の力を世界に示す好機に

  • 2016.12.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年12月7日(水)付



今もなお世界各地で紛争が絶えない中、和解することの大切さに国際社会が思いを致すような訪問となることを期待したい。

安倍晋三首相は5日、今月26、27日に米ハワイを訪問し、オバマ大統領と共にホノルル市の真珠湾を訪れ、旧日本軍による攻撃の犠牲者を慰霊すると発表した。日本の現職首相による真珠湾訪問は初めてであり、その意義は極めて大きい。

1941年12月8日(日本時間)、旧日本軍が真珠湾に奇襲攻撃を行った。米側は約2400人が犠牲となり、これが太平洋戦争の引き金となった。

安倍首相は、この攻撃により沈没した戦艦アリゾナの上に立つ追悼施設「アリゾナ記念館」を訪れて献花し、所信を述べる見通しだ。「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その未来に向けた決意を示したい」と首相が会見で述べた通り、不戦の誓いをあらためて表明する機会としてほしい。

同時に首相は「和解の価値を発信したい」とも語った。今年5月、現職の米大統領としては初めてオバマ氏が被爆地・広島を訪問、戦争が罪のない市民に多大な悲劇をもたらしたと指摘し「核兵器なき世界」の実現を訴えた。その同じ年に安倍首相は真珠湾を訪れ、犠牲者を追悼する。

これは、かつて凄惨な戦闘を繰り広げた両国が、今や強固な友好関係にあることを象徴的に示しているといえよう。その上で、こうした良好な日米関係の構築は、まさに「和解の力」なくしては不可能であったであろうことを痛感せずにはいられない。

民族や宗教、そして政治や経済などを理由にした対立や分断が今、国際社会に暗い影を落としつつある。内戦や紛争に発展しないまでも、社会に深刻な亀裂を生んでいる国は少なくない。

それだけに、互いを敵国として戦った過去を乗り越え、世界の平和と繁栄に貢献してきた日米両国の首脳が、「分断より協調を」とのメッセージを送り続けることは重要である。

とりわけ日本には、「戦争のない世界」の実現を先導する使命があることを強調しておきたい。

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